イトウ先生のTips note連載

イトウ先生のTips note【Illustrator 2023】クロスと重なり


こんにちは、イマジカデジタルスケープの伊藤和博です。
今週は、先日発表されたばかりのIllustrator 2023から新機能で、「クロスと重なり」をご紹介します。

いよいよ各アプリケーション共に2023バージョンがダウンロード可能になり、さまざまな新機能を搭載してバージョンアップされましたが、今週は、Illustrator 2023から「クロスと重なり」をご紹介します。

例えば、円と円を重ね、手前にある円の、重なった箇所の1つを背面に送ったように見せることで、鎖のようにつながったリングに見える、というもので、以前は、2Dオブジェクトの場合、はさみツールなどでセグメントをカットし、背面に送る、というようなことをしており、3Dオブジェクトの場合は、不透明マスクで処理していましたが、この手間をかけずにクロスしたように見せる機能になります。

●さっそくやってみよう!

まずは2Dオブジェクトから、になりますが、任意のサイズで円を描き、塗りなし、線を任意のカラーにしておき、これらを重ねた状態で、2つの円を選択し、オブジェクトメニュー > クロスと重なり > 作成、を選択します。

選択後、自動的にマウスカーソルがなげなわになるため、重なっている箇所で重なり順を変更したい箇所を、なげなわで囲みます。すると、自動的に重なっている箇所の前後関係が入れ替わります。

3Dオブジェクトの場合は、シェイプそのものではなく、アピアランスを重ねた状態でも機能します。例えば、リングのようなオブジェクトを作成しておき、これらのアピアランス部分を重ねた状態で、2つの円を選択し、オブジェクトメニュー > クロスと重なり > 作成、を選択します。

2Dオブジェクトと同様に、見た目で重なっている部分をなげなわで囲むと、前後関係が入れ替わります。

なお、なげなわツールで囲む際、矩形で囲みたい場合は、shift【Shift】+ドラッグします。

●重なりの解除と編集

この「クロスと重なり」を適用したオブジェクトは、クロスと重なり、というアピアランスが適用された扱いになりますが、一度適用したクロスと重なりを削除(解除)する場合は、オブジェクトメニュー > クロスと重なり > 解除、を選択します。

なげなわで囲んだエリアが十分でなかった場合は、重なっている箇所の編集が可能で、編集する場合は、オブジェクトメニュー > クロスと重なり > 編集、を選択します。

編集を選択すると、再度なげなわツールに戻るため、再度囲み直します。この時、前面に残った箇所【だけ】を囲むと背面に送ることができるため、すでに背面に送った箇所(一度囲んだ箇所)も含めて再度ドラッグして囲み直してしまうと、背面に送った箇所は前面に移動して元に戻ってしまうことになります。そのため、囲み直す箇所が込み入っている場合は、一度解除してから再度作成し直すようにします。

この「クロスと重なり」の機能を適用したオブジェクトを、「アピアランスを分割」してみるとわかりますが、この機能は、なげなわで囲んだ箇所に前後関係を入れ替えたオブジェクトを作成し、クリッピングマスクをかけて、その部分だけを入れ替えるようにすることで実現していますので、はさみで切ったり、不透明マスクを使った機能では無いようですが、ライブペイント、リピート、グラフの各機能では、クロスと重なりを使用することはできないようですので、これらの場合は従来の方法で行う、という形になります。

ただ、この機能は、結構手間な機能を簡単に実現してくれる機能になりますので、デザイナーの方にとっては重宝する機能になるかと思います。アップデートがまだの方はぜひアップデートして使って見てください。


この記事を読んだ方にオススメの講座はこちら!

▼Illustrator 2020の使い方・基本トレーニング(2日間・オンライン受講(ライブ配信))
メインビジュアル:Illustrator 2020の使い方・基本トレーニング(2日間・オンライン受講(ライブ配信))


イトウ先生が、Twitterを始めました!みなさんもぜひ、フォローしてくださいね!
itoh_sensei

イトウ先生のTips noteアーカイブ【2016年~】

○Illustrator CC 2015:シェイパーツール
○Illustrator CC 2015:ダイナミックシンボル
○Illustrator CC 2015:画像に書き出し・アセットの書き出し
○Illustrator CC 2017:サンプルテキストと異体字のコンテキスト表示
○Illustrator CC 2017:画像の切り抜き
○Illustrator CC 2018:バリアブルフォント
○Illustrator CC 2018:パペットワープ
○Illustrator CC 2018:変数パネルを使用したデータ結合・1
○Illustrator CC 2018:変数パネルを使用したデータ結合・2
○Illustrator CC 2018:テキストのデザインセット
○Illustrator CC 2018:新しくなったアートボード操作
○Illustrator CC 2019:フリーグラデーション
○Illustrator CC 2019:コンテンツに応じた切り抜き
○Illustrator CC 2019:グローバル編集
○Illustrator CC 2019:トリミング表示とプレゼンテーションモード
○Illustrator 2020:自動スペルチェック
○Illustrator 2020:カスタムツールバー
○Illustrator 2020:100倍のカンバスサイズ
○Illustrator 2020:カンバス上のオブジェクトのロック解除
○Illustrator 2020:グリフにスナップ・整列と、フォントの高さ設定
○Illustrator 2021:オブジェクトを再配色・カラーテーマピッカー
○Illustrator 2021:リピートアートワーク
○Illustrator 2021:角度ガイドにスナップの向上
○Illustrator 2021:日本語のグリフにスナップ
○Illustrator Beta版:回転ビューツール
○Illustrator 2021:書式なしでペースト
○Illustrator Beta版:3D・マテリアル
○Illustrator Beta版:コメントパネル
○Illustrator 2022:共通のテキストを選択
○Illustrator 2022:3D・マテリアル・その1
○Illustrator 2022:3D・マテリアル・その2
○Illustrator 2022:3D・マテリアル・その3
○Illustrator 2022:3D・マテリアル・遠近感(パースペクティブ)
○Illustrator 2022:箇条書き記号と自動番号
○Illustrator 2023:クロスと重なり
○Photoshop CC 2015:アートボード
○Photoshop CC 2015:かすみを除去する
○Photoshop CC 2015:クイック書き出し
○Photoshop CC 2015:遠近法ワープ
○Photoshop CC 2015:顔立ちを調整
○Photoshop CC 2015:切り抜きのコンテンツに応じた塗りつぶし
○Photoshop CC 2015:マッチフォント
○Photoshop CC 2017:OpentypeSVGフォント
○Photoshop CC 2018:対称ペイント
○Photoshop CC 2018:被写体を選択
○Photoshop CC 2018:球パノラマ編集
○Photoshop CC 2018:曲線ペンツール
○Photoshop CC 2018:範囲マスク
○Photoshop CC 2019:フレームレイヤー
○Photoshop 2020:オブジェクト選択ツール
○Photoshop 2020:新しくなったワープ
○Photoshop 2020:新しくなった属性パネル
○Photoshop 2020:コンテンツに応じた塗りつぶし(全レイヤー対象)
○Photoshop 2020:パノラマのエッジを塗りつぶす
○Photoshop 2020:シャドウ・ハイライト
○Photoshop 2020:コンテンツに応じた被写体を選択
○Photoshop 2020:CameraRaw12.3
○Photoshop 2020:フォントの自動アクティベーション
○Photoshop 2020:回転可能なパターンの追加
○Photoshop 2021:空を置き換え
○Photoshop 2021:ニューラルフィルター
○Photoshop 2021:コンテンツに応じたトレースツール
○Photoshop 2021:シェイプの強化されたプロパティ・三角形ツール
○Photoshop 2021:改善されたニューラルフィルター
○Photoshop 2021:分割ワープグリッド内の変形
○Photoshop 2021:他の空を取得
○Photoshop 2022:オブジェクトファインダー
○Photoshop 2022:AIデータをレイヤーとしてペースト
○Photoshop 2022:風景ミキサー
○Photoshop 2022:調和
○Photoshop 2022:グラデーション補間
○Photoshop 2022:AIからテキストレイヤーのコピーペースト
○Photoshop 2022:ガイドの機能強化
○Photoshop 2022:円柱ワープ
○AfterEffects CC 2015:顔のトラッキング
○AfterEffects CC 2015:タイムチューナー
○AfterEffects CC 2015:AIデータはレイヤーに分配で取り込む
○AfterEffects CC 2015:プレビューのコントロール
○AfterEffects CC 2015:スクリプト
○AfterEffects CC 2015:新しくなったMAXON CINEMA 4D Exporter
○AfterEffects CC 2015:マスクリファレンス
○AfterEffects CC 2015:スムーザー
○AfterEffects CC 2015:立体の旗を作る・1
○AfterEffects CC 2015:立体の旗を作る・2(CINEMA 4Dレンダラー)
○AfterEffects CC 2017:強化されたライブテキストテンプレート
○AfterEffects CC 2017:日付のトークン
○AfterEffects CC 2017:マーカーデュレーション
○AfterEffects CC 2017:他のレイヤーのエフェクトをプリコンポーズ無しで参照する
○AfterEffects CC 2017:拡張された平面フォルダ
○AfterEffects CC 2017:レイヤーのあるコンポジションに変換
○AfterEffects CC 2017:現在のフレームから静止画を作る
○AfterEffects CC 2017:最後のフレームでフリーズ
○AfterEffects CC 2017:サウンドの振幅を他のレイヤーで活用する、オーディオ振幅
○AfterEffects CC 2017:カンマ区切りの文字列をランダムに表示する
○AfterEffects CC 2017:CC Light Raysとトラッカー
○AfterEffects CC 2018:パスからヌルを作成
○AfterEffects CC 2018:モーショングラフィックステンプレート
○AfterEffects CC 2018:マスタープロパティ
○AfterEffects CC 2018:プロパティリンクのピックウィップ
○AfterEffects CC 2019:レスポンシブデザインー時間
○AfterEffects CC 2019:パペットベンドピン
○AfterEffects CC 2019:Mocha AE CC プラグイン
○AfterEffects CC 2019:Animate CC FLAファイルの読み込み
○AfterEffects CC 2019:コンテンツに応じた塗りつぶし
○AfterEffects CC 2019:トレイル(オニオンスキン)
○AfterEffects CC 2019:スネークケースとキャメルケース
○AfterEffects CC 2019:エクスプレッションを使った点灯・点滅
○AfterEffects 2020:エクスプレッション・text
○AfterEffects 2020:テーパー・波
○AfterEffects 2021:モーショングラフィックステンプレート内のメディアの置き換え
○AfterEffects 2021:リアルタイム3Dドラフトプレビュー
○AfterEffects Beta版:マルチフレームレンダリング
○AfterEffects Beta版:プロパティパネル
○AfterEffects 2022:キーフレームカラーラベル
○Premiere Pro CC 2015:Lumetri
○Premiere Pro CC 2015:デュレーションの補間方法
○Premiere Pro CC 2015:Liveテキストテンプレート
○Premiere Pro CC 2015:インジェスト設定とプロキシ
○Premiere Pro CC 2015:オープンキャプション(字幕)
○Premiere Pro CC 2017:VRワークフロー・その1
○Premiere Pro CC 2017:VRワークフロー・その2
○Premiere Pro CC 2017:グラフィッククリップとエッセンシャルグラフィックスパネル
○Premiere Pro CC 2017:キーボードショートカット
○Premiere Pro CC 2018:レスポンシブデザイン
○Premiere Pro CC 2018:複数のプロジェクトを同時に開く
○Premiere Pro CC 2018:スマホで撮ったビデオ(VFRビデオ)のサポート
○Premiere Pro CC 2018:自動ダッキング
○Premiere Pro CC 2018:比較表示と自動カラーマッチング
○Premiere Pro CC 2018:自動ラウドネス
○Premiere Pro CC 2019:ベクトルモーションコントロール
○Premiere Pro CC 2019:新しくなったアピアランス
○Premiere Pro CC 2019:ガイド
○Premiere Pro CC 2019:マスクトラッキングの高速化
○Premiere Pro CC 2019:クロマノイズ除去
○Premiere Pro CC 2019:フリーフォーム表示
○Premiere Pro 2020:オートリフレーム
○Premiere Pro 2020:20000%のタイムリマップ
○Premiere Pro 2020:プロダクション
○Premiere Pro 2020:アンカーポイント操作
○Premiere Pro 2020:シーン編集の自動検出
○Premiere Pro Beta版:読み込み・書き出しワークフロー
○Premiere Pro 2021:音声テキスト変換
○Premiere Pro 2021:レガシータイトルのアップグレード
○Premiere Pro Beta版:シーケンスを簡易化
○Premiere Pro 2022:リミックス
○Premiere Pro 2022:新しいGPU高速処理エフェクト
○Premiere Pro 2022:縦型ビデオワークスペース