イトウ先生のTips note連載

イトウ先生のTips note【Photoshop 2022】調和


こんにちは、イマジカデジタルスケープの伊藤和博です。
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
2022年最初のブログは、Photoshop 2022、ニューラルフィルターから新機能で「調和」をご紹介します。

この機能は、条件の異なる2つ以上の画像を合成した際の、彩度、明度、輝度などを調和させる機能になります。例えば、ある画像から人物を切り取り、別の画像の背景と合成した場合に、切り取った人物画像の彩度、明度、輝度などを、コピー先の背景画像と調和させ、違和感の無いようにする処理になります。

あくまでも彩度、明度、輝度など、RGB・CMYKの各チャンネルの自動調整と、明るさ調整に特化した機能であるため、フォーカスや遠近感、切り取った人物部分のボケ足処理などは別途調整する必要がありますが、これらがほぼ一致している画像の場合は、極力違和感のないように合成する、という機能になります。

なお、この機能は昨年末にご紹介しました「風景ミキサー」同様、ニューラルフィルターの機能になりますので、日進月歩で進化する機能になると言えますが、オペレーションそのものは簡単な操作で行うことができますので、切り抜きなどの操作も含め、この辺りの操作をご紹介していきます。

●さっそくやってみよう!

この「調和」の機能は、透明レイヤーを含んだレイヤーまたはレイヤーマスクを含んだレイヤーと、背景の2つのレイヤーが必要になりますが、今回は、以下の2つの画像を用意しました。

この画像から男性部分を切り取り、女性と船が写っている画像に合成していきます。まずは、オブジェクト選択ツール+選択とマスクの機能を使って、男性部分を切り取ります。

切り取った男性のレイヤーを女性の画像にコピーペーストしておきます。背景レイヤーと、切り抜いた画像レイヤーまたはレイヤーマスクを含んだレイヤーの2つのレイヤーが必要になります。

コピー元の男性部分は、少々赤みを帯びていますが、この赤みを手動で取り除いていくには、背景の明るさや輝度を計測した上で、レベル補正やトーンカーブなどの色調補正をコマンドを駆使して調整していきますが、これらを全自動で行ってくれるのが「調和」の機能になります。

レイヤーパネルで、ペーストした人物部分のレイヤーを選択した状態で、フィルターメニュー > ニューラルフィルターを選択し、調和のスイッチをオンにします(調和させたい方のレイヤー(=人物のレイヤー)を選択した状態で、ニューラルフィルターを選択しないと、調和がアクティブになりません)。その後、どのレイヤーと調和させたいか?を指定するため、画像内に含まれる背景を選択します。すると、自動的に処理が行われ、背景と調和するように調整していきます。

カスタムで調整できるコマンドとしては、色調補正メニューの中にあるカラーバランスの各プロパティと、色相・彩度にある彩度と明るさのプロパティが用意されていますので、これらを調整することでお好みの状態にカスタマイズすることが可能です。アウトプットの方法を選択し、OKをクリックすると、調和の取れた画像をアウトプットします。

以下が、調和前と調和後の比較になります。背景とよくなじんでいるのが確認できます。

舞台やステージの上でスポットライトが当たっている人物を切り取り、自然画と合成する、など、人物に対して特定の方向から照射された光源がある場合は、この調和の機能でも処理が難しい場合がありますが、コピー元とコピー先の画像がともにアンビエント光(太陽光のように全体を照らす明かり)の場合には、手動で調整するよりも簡単に調整することが可能ですので、普段みなさんが扱っている画像データをサンプルに試してみていただくといいかと思いますので、ダウンロードがまだの方はぜひダウンロードして使ってみてください。

それでは、2022年もよろしくお願いいたします!


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イトウ先生のTips noteアーカイブ【2016年~】

○Illustrator CC 2015:シェイパーツール
○Illustrator CC 2015:ダイナミックシンボル
○Illustrator CC 2015:画像に書き出し・アセットの書き出し
○Illustrator CC 2017:サンプルテキストと異体字のコンテキスト表示
○Illustrator CC 2017:画像の切り抜き
○Illustrator CC 2018:バリアブルフォント
○Illustrator CC 2018:パペットワープ
○Illustrator CC 2018:変数パネルを使用したデータ結合・1
○Illustrator CC 2018:変数パネルを使用したデータ結合・2
○Illustrator CC 2018:テキストのデザインセット
○Illustrator CC 2018:新しくなったアートボード操作
○Illustrator CC 2019:フリーグラデーション
○Illustrator CC 2019:コンテンツに応じた切り抜き
○Illustrator CC 2019:グローバル編集
○Illustrator CC 2019:トリミング表示とプレゼンテーションモード
○Illustrator 2020:自動スペルチェック
○Illustrator 2020:カスタムツールバー
○Illustrator 2020:100倍のカンバスサイズ
○Illustrator 2020:カンバス上のオブジェクトのロック解除
○Illustrator 2020:グリフにスナップ・整列と、フォントの高さ設定
○Illustrator 2021:オブジェクトを再配色・カラーテーマピッカー
○Illustrator 2021:リピートアートワーク
○Illustrator 2021:角度ガイドにスナップの向上
○Illustrator 2021:日本語のグリフにスナップ
○Illustrator Beta版:回転ビューツール
○Illustrator 2021:書式なしでペースト
○Illustrator Beta版:3D・マテリアル
○Illustrator Beta版:コメントパネル
○Illustrator 2022:共通のテキストを選択
○Photoshop CC 2015:アートボード
○Photoshop CC 2015:かすみを除去する
○Photoshop CC 2015:クイック書き出し
○Photoshop CC 2015:遠近法ワープ
○Photoshop CC 2015:顔立ちを調整
○Photoshop CC 2015:切り抜きのコンテンツに応じた塗りつぶし
○Photoshop CC 2015:マッチフォント
○Photoshop CC 2017:OpentypeSVGフォント
○Photoshop CC 2018:対称ペイント
○Photoshop CC 2018:被写体を選択
○Photoshop CC 2018:球パノラマ編集
○Photoshop CC 2018:曲線ペンツール
○Photoshop CC 2018:範囲マスク
○Photoshop CC 2019:フレームレイヤー
○Photoshop 2020:オブジェクト選択ツール
○Photoshop 2020:新しくなったワープ
○Photoshop 2020:新しくなった属性パネル
○Photoshop 2020:コンテンツに応じた塗りつぶし(全レイヤー対象)
○Photoshop 2020:パノラマのエッジを塗りつぶす
○Photoshop 2020:シャドウ・ハイライト
○Photoshop 2020:コンテンツに応じた被写体を選択
○Photoshop 2020:CameraRaw12.3
○Photoshop 2020:フォントの自動アクティベーション
○Photoshop 2020:回転可能なパターンの追加
○Photoshop 2021:空を置き換え
○Photoshop 2021:ニューラルフィルター
○Photoshop 2021:コンテンツに応じたトレースツール
○Photoshop 2021:シェイプの強化されたプロパティ・三角形ツール
○Photoshop 2021:改善されたニューラルフィルター
○Photoshop 2021:分割ワープグリッド内の変形
○Photoshop 2021:他の空を取得
○Photoshop 2022:オブジェクトファインダー
○Photoshop 2022:AIデータをレイヤーとしてペースト
○Photoshop 2022:風景ミキサー
○Photoshop 2022:調和
○AfterEffects CC 2015:顔のトラッキング
○AfterEffects CC 2015:タイムチューナー
○AfterEffects CC 2015:AIデータはレイヤーに分配で取り込む
○AfterEffects CC 2015:プレビューのコントロール
○AfterEffects CC 2015:スクリプト
○AfterEffects CC 2015:新しくなったMAXON CINEMA 4D Exporter
○AfterEffects CC 2015:マスクリファレンス
○AfterEffects CC 2015:スムーザー
○AfterEffects CC 2015:立体の旗を作る・1
○AfterEffects CC 2015:立体の旗を作る・2(CINEMA 4Dレンダラー)
○AfterEffects CC 2017:強化されたライブテキストテンプレート
○AfterEffects CC 2017:日付のトークン
○AfterEffects CC 2017:マーカーデュレーション
○AfterEffects CC 2017:他のレイヤーのエフェクトをプリコンポーズ無しで参照する
○AfterEffects CC 2017:拡張された平面フォルダ
○AfterEffects CC 2017:レイヤーのあるコンポジションに変換
○AfterEffects CC 2017:現在のフレームから静止画を作る
○AfterEffects CC 2017:最後のフレームでフリーズ
○AfterEffects CC 2017:サウンドの振幅を他のレイヤーで活用する、オーディオ振幅
○AfterEffects CC 2017:カンマ区切りの文字列をランダムに表示する
○AfterEffects CC 2017:CC Light Raysとトラッカー
○AfterEffects CC 2018:パスからヌルを作成
○AfterEffects CC 2018:モーショングラフィックステンプレート
○AfterEffects CC 2018:マスタープロパティ
○AfterEffects CC 2018:プロパティリンクのピックウィップ
○AfterEffects CC 2019:レスポンシブデザインー時間
○AfterEffects CC 2019:パペットベンドピン
○AfterEffects CC 2019:Mocha AE CC プラグイン
○AfterEffects CC 2019:Animate CC FLAファイルの読み込み
○AfterEffects CC 2019:コンテンツに応じた塗りつぶし
○AfterEffects CC 2019:トレイル(オニオンスキン)
○AfterEffects CC 2019:スネークケースとキャメルケース
○AfterEffects CC 2019:エクスプレッションを使った点灯・点滅
○AfterEffects 2020:エクスプレッション・text
○AfterEffects 2020:テーパー・波
○AfterEffects 2021:モーショングラフィックステンプレート内のメディアの置き換え
○AfterEffects 2021:リアルタイム3Dドラフトプレビュー
○AfterEffects Beta版:マルチフレームレンダリング
○Premiere Pro CC 2015:Lumetri
○Premiere Pro CC 2015:デュレーションの補間方法
○Premiere Pro CC 2015:Liveテキストテンプレート
○Premiere Pro CC 2015:インジェスト設定とプロキシ
○Premiere Pro CC 2015:オープンキャプション(字幕)
○Premiere Pro CC 2017:VRワークフロー・その1
○Premiere Pro CC 2017:VRワークフロー・その2
○Premiere Pro CC 2017:グラフィッククリップとエッセンシャルグラフィックスパネル
○Premiere Pro CC 2017:キーボードショートカット
○Premiere Pro CC 2018:レスポンシブデザイン
○Premiere Pro CC 2018:複数のプロジェクトを同時に開く
○Premiere Pro CC 2018:スマホで撮ったビデオ(VFRビデオ)のサポート
○Premiere Pro CC 2018:自動ダッキング
○Premiere Pro CC 2018:比較表示と自動カラーマッチング
○Premiere Pro CC 2018:自動ラウドネス
○Premiere Pro CC 2019:ベクトルモーションコントロール
○Premiere Pro CC 2019:新しくなったアピアランス
○Premiere Pro CC 2019:ガイド
○Premiere Pro CC 2019:マスクトラッキングの高速化
○Premiere Pro CC 2019:クロマノイズ除去
○Premiere Pro CC 2019:フリーフォーム表示
○Premiere Pro 2020:オートリフレーム
○Premiere Pro 2020:20000%のタイムリマップ
○Premiere Pro 2020:プロダクション
○Premiere Pro 2020:アンカーポイント操作
○Premiere Pro 2020:シーン編集の自動検出
○Premiere Pro Beta版:読み込み・書き出しワークフロー
○Premiere Pro 2021:音声テキスト変換
○Premiere Pro 2021:レガシータイトルのアップグレード
○Premiere Pro Beta版:シーケンスを簡易化