イトウ先生のTips note連載

イトウ先生のTips note【Illustrator 2022】3D・マテリアル・その2


こんにちは、イマジカデジタルスケープの伊藤和博です。
今回は、Illustrator 2022から「3D・マテリアル・その2」をご紹介します。

前回のブログ、イトウ先生のTips note【Illustrator 2022】3D・マテリアル・その1では、3Dのオブジェクトに関することと、レンダラーについてご紹介いたしましたが、今回はこれらの3Dに適用するマテリアルとグラフィックについてご紹介していきます。

マテリアルとグラフィックを使用することで、3Dオブジェクトの表面に質感やロゴなどのグラフィックデザインを入れることが可能になりますが、このうち、マテリアルの方は以前のブログ、イトウ先生のTips note【Illustrator Beta版】3D・マテリアルでご紹介した通り、Adobe Substanceで作成された非常に軽量かつリアルなマテリアルを使用できるようになっています。あらかじめIllustratorに用意されているマテリアルを使用するか、コミュニティアセットや3Dアセットで購入または無償ダウンロードすることで、新しいマテリアルを入手することが可能です。

グラフィックの方もマテリアルと同様に3Dオブジェクトに巻きつけて使用しますが、Illustratorそのもので作成したロゴやイラストを使用すればグラフィックデザインとして、または配置した画像を使用すればマテリアルの代わりに使用することも可能です。グラフィックの方は、従来からの3D機能同様にシンボル登録してあるものを3Dオブジェクトに貼り込んで使用するものになりますが、立体への適用方法がや操作が従来とは異なりますので、その辺りも含めてご紹介していきます。

●マテリアル

マテリアルは、オブジェクトを選択しておき、3Dとマテリアルパネルから目的のマテリアルをクリックするだけで適用できます。なお、押し出し・ベベルなど、3Dオブジェクトとしての設定を行なっていない2Dオブジェクトにもマテリアルは適用することは可能で、適用すると、その時点で自動的に3Dオブジェクトになり、3Dとマテリアルのアピアランスが適用された状態になります。

マテリアルは、塗りと線の両方の表面積に対して適用されるため、線を適用したオブジェクトの場合は、線幅分だけ大きくなります。

マテリアルは、1つのオブジェクトに対して、1種類のマテリアルのみ適用可能で、2つ以上のマテリアルを同時に適用することはできません。また一度適用したマテリアルを削除する場合は、プロパティの中にあるマテリアルを選択し、プロパティの下にあるゴミ箱をクリックして削除します。

新しいマテリアルを追加したい場合は、マテリアルとグラフィックを追加、から、「マテリアルを追加」を選択して追加することが可能ですが、このマテリアルとして追加することが可能なファイル形式は、.Sbsarファイルのみとなり、この.Sbsarファイルとは、Adobe Substanceで作成されたマテリアルのファイルとなります。

そのため、Adobe Substanceを持っていない場合は、市販のマテリアルを購入するかまたはフリーの素材をダウンロードするか、となりますが、市販の素材を購入する場合は、「Substance 3Dアセットで他のマテリアルを探す」をクリックし、ブラウザ上で探して購入します。

フリーの.Sbsarファイルをダウンロードして使用する場合は、「Substance 3Dコミュニティアセットで他のマテリアルを探す」をクリックします。すると、このSubstance 3Dコミュニティアセットで、マテリアルを無償公開しているクリエイターからダウンロードして使用することが可能になります。

これらのアセットには非常に美しいマテリアルが数多くありますが、デフォルトのマテリアル含め、マテリアルそのものの解像度は、プロパティのメインパラメーターにある「解像度」から設定することが可能です。ただし、ここでの解像度とは、Illustrator上でのプレビュー解像度のことをいい、当然ながら高い解像度ほどよりきれいなマテリアルとして表示され、その分処理も重くなります。

なお、これらをプリントする場合など、最終的なアウトプットの解像度の設定は別の箇所で定義されており、アウトプットの解像度は、効果メニュー > ドキュメントのラスタライズ効果設定を選択し、このウインドウ内でアウトプット時の解像度を設定します。

●グラフィック

グラフィックは、従来のIllustratorでの3D押し出し・ベベルにある「マップ」という機能に近いもので、シンボルに登録してあるオブジェクトを3Dオブジェクトに貼り付ける、という機能です。

ただ、従来のIllustratorとの違いは、2Dオブジェクトのままでもグラフィックを適用できることと、グラフィックでのマップの仕方(=オブジェクトをグラフィックのデザインで包む)にあります。

従来のIllustratorでは、3D押し出し・ベベルなどの3D効果を適用したオブジェクトに対し、立体の各面ごとにマップデータとなるシンボルを貼り付ける、という形で適用されましたが、2022では「3Dとマテリアル」という効果そのものを適用した扱いになるため、押し出し・ベベルなどの変形を伴わなくても、グラフィックを適用しただけで自動的に3Dのアピアランスを帯びることになります。

またマップの仕方も、立体の個々の面ごとにシンボルを貼り付けるのではなく、シンボルそのもので立体をラッピングするように、そのシンボルオブジェクトで立体を包み込むようなマップの方法に変更となっています。

まずは、オブジェクトを選択して、3Dとマテリアルパネルから、グラフィックを選択し、任意のシンボルオブジェクトを選択します。グラフィックの場合は、マテリアルと違って、線に対しては適用されません。あくまで塗りの箇所にグラフィックを貼り付ける、という形になっています。

グラフィックを適用したオブジェクトそのものを選択し、立体の向きを変更したい、などオブジェクトの操作をする場合は、プロパティにある初期設定を選択した状態で操作します。また、立体に貼り付けたグラフィックそのものを操作する場合は、プロパティにあるグラフィックを選択します。

選択した際の特徴は、オブジェクトそのものを選択している時は、矩形のバウンディングボックスやオブジェクトのアンカーポイント、3Dガイド等が表示されるのに対し、グラフィックを選択している時には、円形のバウンディングボックスのようなものが表示されます。

立体の面全体にグラフィックを巻き付けたようにする場合は、従来のIllustratorでは、立体で生成された各面にどのようにシンボルを割り当てるかを設定していましたが、2022では、プロパティからグラフィックを選択し、立体そのものを包み込むようにグラフィックのサイズを大きくします。

●グラフィックとして追加

立体の表面に入れるデザインを、Illustrator上の任意のオブジェクトで作成する場合は、まずは、任意のオブジェクトを作成し、登録したいオブジェクトを全て選択してした状態で、マテリアルとグラフィックを追加から、「単一のまたは複数のグラフィックを追加」を選択します。「単一のグラフィックとして追加」を選択すると、複数のオブジェクトを同時に選択した状態でも、1つのグラフィックとして登録されます。

また、登録したグラフィックは同時に、シンボルパネルにも登録され、従来のシンボルのようにシンボル(親)とインスタンスの関係を保ち、親またはインスタンスに編集を加えると、その編集結果は親または全てのインスタンスに反映されるようになります。

複数のオブジェクトを同時に選択しておき、それらのオブジェクトを個別にグラフィックとして登録する場合は、「複数のグラフィックとして追加」を選択します。この時、複数のオブジェクトをグループ化した状態にしておくと、個別のオブジェクトとしては登録されませんので、グループは解除しておきます。

画像データをグラフィックとして登録する場合は、埋め込んであることが条件なのは従来のIllustratorと同じです。

埋め込んだ後は、グラフィックとして登録し、オブジェクトへの適用も可能になります。なお、画像の場合もプロパティからグラフィックを選択し、立体そのものを包み込むようにグラフィックのサイズを変更することで、マッピングを調整します。

従来の3D押し出しベベルでは、このマッピングが非常に面倒でした。マップしたオブジェクトの微妙な位置調整や分割拡張するとパスがうまく噛み合わない、というようなこともありましたが、今回のこの2022では、マッピングが非常に操作しやすくバージョンアップしていますので、バージョンアップがまだの方はぜひバージョンアップして使ってみてください。次回は3Dのライトに間してご紹介していきます。


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イトウ先生のTips noteアーカイブ【2016年~】

○Illustrator CC 2015:シェイパーツール
○Illustrator CC 2015:ダイナミックシンボル
○Illustrator CC 2015:画像に書き出し・アセットの書き出し
○Illustrator CC 2017:サンプルテキストと異体字のコンテキスト表示
○Illustrator CC 2017:画像の切り抜き
○Illustrator CC 2018:バリアブルフォント
○Illustrator CC 2018:パペットワープ
○Illustrator CC 2018:変数パネルを使用したデータ結合・1
○Illustrator CC 2018:変数パネルを使用したデータ結合・2
○Illustrator CC 2018:テキストのデザインセット
○Illustrator CC 2018:新しくなったアートボード操作
○Illustrator CC 2019:フリーグラデーション
○Illustrator CC 2019:コンテンツに応じた切り抜き
○Illustrator CC 2019:グローバル編集
○Illustrator CC 2019:トリミング表示とプレゼンテーションモード
○Illustrator 2020:自動スペルチェック
○Illustrator 2020:カスタムツールバー
○Illustrator 2020:100倍のカンバスサイズ
○Illustrator 2020:カンバス上のオブジェクトのロック解除
○Illustrator 2020:グリフにスナップ・整列と、フォントの高さ設定
○Illustrator 2021:オブジェクトを再配色・カラーテーマピッカー
○Illustrator 2021:リピートアートワーク
○Illustrator 2021:角度ガイドにスナップの向上
○Illustrator 2021:日本語のグリフにスナップ
○Illustrator Beta版:回転ビューツール
○Illustrator 2021:書式なしでペースト
○Illustrator Beta版:3D・マテリアル
○Illustrator Beta版:コメントパネル
○Illustrator 2022:共通のテキストを選択
○Illustrator 2022:3D・マテリアル・その1
○Illustrator 2022:3D・マテリアル・その2
○Photoshop CC 2015:アートボード
○Photoshop CC 2015:かすみを除去する
○Photoshop CC 2015:クイック書き出し
○Photoshop CC 2015:遠近法ワープ
○Photoshop CC 2015:顔立ちを調整
○Photoshop CC 2015:切り抜きのコンテンツに応じた塗りつぶし
○Photoshop CC 2015:マッチフォント
○Photoshop CC 2017:OpentypeSVGフォント
○Photoshop CC 2018:対称ペイント
○Photoshop CC 2018:被写体を選択
○Photoshop CC 2018:球パノラマ編集
○Photoshop CC 2018:曲線ペンツール
○Photoshop CC 2018:範囲マスク
○Photoshop CC 2019:フレームレイヤー
○Photoshop 2020:オブジェクト選択ツール
○Photoshop 2020:新しくなったワープ
○Photoshop 2020:新しくなった属性パネル
○Photoshop 2020:コンテンツに応じた塗りつぶし(全レイヤー対象)
○Photoshop 2020:パノラマのエッジを塗りつぶす
○Photoshop 2020:シャドウ・ハイライト
○Photoshop 2020:コンテンツに応じた被写体を選択
○Photoshop 2020:CameraRaw12.3
○Photoshop 2020:フォントの自動アクティベーション
○Photoshop 2020:回転可能なパターンの追加
○Photoshop 2021:空を置き換え
○Photoshop 2021:ニューラルフィルター
○Photoshop 2021:コンテンツに応じたトレースツール
○Photoshop 2021:シェイプの強化されたプロパティ・三角形ツール
○Photoshop 2021:改善されたニューラルフィルター
○Photoshop 2021:分割ワープグリッド内の変形
○Photoshop 2021:他の空を取得
○Photoshop 2022:オブジェクトファインダー
○Photoshop 2022:AIデータをレイヤーとしてペースト
○Photoshop 2022:風景ミキサー
○Photoshop 2022:調和
○Photoshop 2022:グラデーション補間
○AfterEffects CC 2015:顔のトラッキング
○AfterEffects CC 2015:タイムチューナー
○AfterEffects CC 2015:AIデータはレイヤーに分配で取り込む
○AfterEffects CC 2015:プレビューのコントロール
○AfterEffects CC 2015:スクリプト
○AfterEffects CC 2015:新しくなったMAXON CINEMA 4D Exporter
○AfterEffects CC 2015:マスクリファレンス
○AfterEffects CC 2015:スムーザー
○AfterEffects CC 2015:立体の旗を作る・1
○AfterEffects CC 2015:立体の旗を作る・2(CINEMA 4Dレンダラー)
○AfterEffects CC 2017:強化されたライブテキストテンプレート
○AfterEffects CC 2017:日付のトークン
○AfterEffects CC 2017:マーカーデュレーション
○AfterEffects CC 2017:他のレイヤーのエフェクトをプリコンポーズ無しで参照する
○AfterEffects CC 2017:拡張された平面フォルダ
○AfterEffects CC 2017:レイヤーのあるコンポジションに変換
○AfterEffects CC 2017:現在のフレームから静止画を作る
○AfterEffects CC 2017:最後のフレームでフリーズ
○AfterEffects CC 2017:サウンドの振幅を他のレイヤーで活用する、オーディオ振幅
○AfterEffects CC 2017:カンマ区切りの文字列をランダムに表示する
○AfterEffects CC 2017:CC Light Raysとトラッカー
○AfterEffects CC 2018:パスからヌルを作成
○AfterEffects CC 2018:モーショングラフィックステンプレート
○AfterEffects CC 2018:マスタープロパティ
○AfterEffects CC 2018:プロパティリンクのピックウィップ
○AfterEffects CC 2019:レスポンシブデザインー時間
○AfterEffects CC 2019:パペットベンドピン
○AfterEffects CC 2019:Mocha AE CC プラグイン
○AfterEffects CC 2019:Animate CC FLAファイルの読み込み
○AfterEffects CC 2019:コンテンツに応じた塗りつぶし
○AfterEffects CC 2019:トレイル(オニオンスキン)
○AfterEffects CC 2019:スネークケースとキャメルケース
○AfterEffects CC 2019:エクスプレッションを使った点灯・点滅
○AfterEffects 2020:エクスプレッション・text
○AfterEffects 2020:テーパー・波
○AfterEffects 2021:モーショングラフィックステンプレート内のメディアの置き換え
○AfterEffects 2021:リアルタイム3Dドラフトプレビュー
○AfterEffects Beta版:マルチフレームレンダリング
○AfterEffects Beta版:プロパティパネル
○Premiere Pro CC 2015:Lumetri
○Premiere Pro CC 2015:デュレーションの補間方法
○Premiere Pro CC 2015:Liveテキストテンプレート
○Premiere Pro CC 2015:インジェスト設定とプロキシ
○Premiere Pro CC 2015:オープンキャプション(字幕)
○Premiere Pro CC 2017:VRワークフロー・その1
○Premiere Pro CC 2017:VRワークフロー・その2
○Premiere Pro CC 2017:グラフィッククリップとエッセンシャルグラフィックスパネル
○Premiere Pro CC 2017:キーボードショートカット
○Premiere Pro CC 2018:レスポンシブデザイン
○Premiere Pro CC 2018:複数のプロジェクトを同時に開く
○Premiere Pro CC 2018:スマホで撮ったビデオ(VFRビデオ)のサポート
○Premiere Pro CC 2018:自動ダッキング
○Premiere Pro CC 2018:比較表示と自動カラーマッチング
○Premiere Pro CC 2018:自動ラウドネス
○Premiere Pro CC 2019:ベクトルモーションコントロール
○Premiere Pro CC 2019:新しくなったアピアランス
○Premiere Pro CC 2019:ガイド
○Premiere Pro CC 2019:マスクトラッキングの高速化
○Premiere Pro CC 2019:クロマノイズ除去
○Premiere Pro CC 2019:フリーフォーム表示
○Premiere Pro 2020:オートリフレーム
○Premiere Pro 2020:20000%のタイムリマップ
○Premiere Pro 2020:プロダクション
○Premiere Pro 2020:アンカーポイント操作
○Premiere Pro 2020:シーン編集の自動検出
○Premiere Pro Beta版:読み込み・書き出しワークフロー
○Premiere Pro 2021:音声テキスト変換
○Premiere Pro 2021:レガシータイトルのアップグレード
○Premiere Pro Beta版:シーケンスを簡易化
○Premiere Pro 2022:リミックス
○Premiere Pro 2022:新しいGPU高速処理エフェクト