イトウ先生のTips note連載

イトウ先生のTips note【Premiere Pro 2021】音声テキスト変換


こんにちは、イマジカデジタルスケープの伊藤和博です。
今回は、Premiere Pro 2021、2021年7月アップデートから新機能で「音声テキスト変換」をご紹介します。

この機能は編集作業を大幅に効率化させる便利な機能になるかと思いますが、音声データに含まれる声を、テキストデータに変換できる機能が搭載されました。英語はもちろん、日中韓など、全13の言語の変換に対応しており、変換された音声はテキストデータおよびキャプションクリップとしてタイムラインにそのまま配置されます。

大勢の声が含まれる中での特定の人の話す声や微妙なニュアンスなど、きちんと意図通りに変換できない部分もありますが、これまで手入力していたテキストのほとんどはこの機能によって自動変換できるかと思いますので、今回のブログではこの機能をご紹介したいと思います。

●さっそくやってみよう!

まずは、人の声が含まれるビデオ、または音声データのサウンドファイルをサウンドトラックに取り込みます。

次に、2021より新設されたキャプションワークスペースにワークスペースを切り替えます。すると、テキストパネル(旧キャプションパネル)が表示されます。

タイムラインパネルにあるサウンドクリップを選択した状態で、テキストパネルの「シーケンスから文字起こし」をクリックします。すると、自動文字起こしのウインドウが表示されます。

この自動文字起こしから、どのようにテキストを作成するか?を設定します。
オーディオ分析の箇所は、エッセンシャルサウンドパネルから「会話」クリップとして設定したクリップから文字を起こすか、タイムラインの特定のオーディオトラックから文字を起こすかを選択します。

言語は、英語はアメリカ英語とイギリス英語、中国語は簡体字と繁体字から選択可能で、これら含め11ヵ国13言語から選択可能です。

インとアウトを設定している場合、その範囲で文字起こしをする場合は、「インからアウトの間のみを文字起こし」にチェックを入れておきます。なお、「インからアウトの間のみを文字起こし」にチェックを入れると、「既存の文字起こしデータと結合」がアクティブになり、ここにチェックを入れると、既存の文字起こしデータに自動文字起こしを挿入することが可能です。

また、音声データに複数の話者がいる場合は、「さまざまな話者が話しているときに認識することをオプトインする」にチェックを入れておきます。

また、このウインドウ内にも記載がありますが、この文字起こしはクラウド上で処理されるようですので、Creative Cloudにログインした状態で行います。

「文字起こしを開始」をクリックすると、音声データがクラウドに送信され、文字を書き起こし、完了すると、テキストパネル上にテキストデータが出来上がります。

この後、このキャプションに対して「誰の声なのか?」がわかるよう、話者の設定をしておきます。サウンドの中に複数の話者がいる場合、会話ごとに話者を設定しますが、テキストパネルの左側にある話者の列をクリックし、任意の名前を設定します。

●テキストの編集

出来上がったテキストが、必ずしもこちらが期待したテキストではない場合がありますが、その場合はテキストパネル上で直接入力したり、検索置換で文字を置き換えることが可能です。テキストを編集する場合は、書き起こされたテキストの上でダブルクリックすると、テキストの周りにブルーの枠が表示されるため、その状態で任意のテキストを選択し、直接入力します。

検索置換で置き換える場合は、テキストパネル内の検索フィールドに検索したい文字を入力し、「置き換え」ボタンをクリックすると、置き換える文字列を入力できるフィールドが表示されるため、ここに文字を入力し、置き換え(個別に)、またはすべてを置換、をクリックして置き換えます。

●キャプションクリップの作成

編集が終わったテキストからキャプションクリップを作成する場合は、テキストパネルにある「キャプションの作成」をクリックします。

キャプションを作成のウインドウが表示されます。ここでの設定ですが、まず、文字起こしで生成されたテキストからキャプションクリップを作成する場合は、「シーケンストランスクリプトから作成」を選択しておきます。「空白のキャプショントラックを作成する」は、キャプションを手動で追加する場合、またはあとからキャプション用ファイル(.srtファイル)を読み込む場合に使用します。

「キャプションプリセット」および「形式」は、YouTubeなどにアップして使用する場合は「字幕のプリセット」および「サブタイトル」を選択しますが、字幕の規格に基づいて字幕を作成する場合は、それぞれ該当する規格を選択します。

「ストリーム」は、「キャプションプリセット」および「形式」から、「文字放送」および「テレテキスト」を選択した時に設定する項目で、文字放送用のブロードキャストストリームを設定します。

「スタイル」は、キャプション用のスタイルを別途保存している場合に選択します。

「文字の最大長」は、キャプションテキストの各行の最大文字数を設定します。「秒単位の最小期間」は、キャプションを表示しておく最小デュレーションを設定します。キャプションとキャプションの間にギャップを空ける場合は、「キャプション(フレーム)間のギャップ」を設定します。

「線グラフ」の箇所はおそらく「キャプションの行数」の意味になりますが、キャプションを1行で表示する場合は「単一」、2行に渡って折り返して表示する場合は「2倍」を設定しておきます。

「作成」をクリックすると、設定した最大文字数と行数の通り、テキストパネルとタイムラインパネルにキャプションが作成されます。なお、句読点や括弧類など、記号・約物に相当する文字キャラクタは生成されませんので、これらを設定する場合は、手動で入力していく必要があります。

●キャプションクリップの編集

自動生成されたキャプションが、文脈から判断してこちらの意図した通りに改行されていない場合、自動生成されたキャプションを分割し、目的のキャプションに仕上げていきます。

「ここで一度区切りたい」という文字列が含まれるクリップを、目的の箇所で分割する場合や、自動生成されたキャプションの数が足りないため増やしたい、という場合は、テキストパネル内で任意のキャプションを選択し、「キャプションを分割」をクリックします。すると、選択したキャプションクリップが複製されるため、各キャプションの上でダブルクリックし、文字をコピーペーストするなど、通常のテキスト操作で、文字数や文脈の区切りを調整していきます。

●キャプションテキストの書き出し

出来上がったテキストを、テキストファイルとして書き出す場合は、テキストパネルの右上にある「・・・」のボタンから行います。

「SRTファイルに書き出し」を選択すると、Premiere Proで読み込める字幕テキストファイルとして保存することが可能です。通常のテキストファイル(.txt)として書き出す場合は、「テキストファイルに書き出し」を選択します。

なお、SRTファイルを読み込んでキャプションクリップにする、などSRTファイルに関する説明は、イトウ先生のTips note 【Premiere Pro 2021】キャプション(字幕)のワークフローにも記載しておりますので、こちらも合わせてご確認ください。

とうとう、といいますか、ついにといいますか、音声データからテキストを起こす機能まで追加されました。さすがに擬音語や擬態語、例えばクラクションの音に対して「プップー」という文字を作成したり、ガラスの割れた音に「ガシャン」などの文字を作成するのは難しいですが、いわゆる音声に含まれる「人の声」に関しては、かなりの精度でテキスト作成できるのではないか、と思います。

これまで一から字幕を手入力していた方は、部分修正程度で済むようになりますので、ビデオ編集が大幅に楽になるかと思います。バージョンアップがまだの方はぜひバージョンアップして使ってみてください。


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イトウ先生のTips noteアーカイブ【2016年~】

○Illustrator CC 2015:シェイパーツール
○Illustrator CC 2015:ダイナミックシンボル
○Illustrator CC 2015:画像に書き出し・アセットの書き出し
○Illustrator CC 2017:サンプルテキストと異体字のコンテキスト表示
○Illustrator CC 2017:画像の切り抜き
○Illustrator CC 2018:バリアブルフォント
○Illustrator CC 2018:パペットワープ
○Illustrator CC 2018:変数パネルを使用したデータ結合・1
○Illustrator CC 2018:変数パネルを使用したデータ結合・2
○Illustrator CC 2018:テキストのデザインセット
○Illustrator CC 2018:新しくなったアートボード操作
○Illustrator CC 2019:フリーグラデーション
○Illustrator CC 2019:コンテンツに応じた切り抜き
○Illustrator CC 2019:グローバル編集
○Illustrator CC 2019:トリミング表示とプレゼンテーションモード
○Illustrator 2020:自動スペルチェック
○Illustrator 2020:カスタムツールバー
○Illustrator 2020:100倍のカンバスサイズ
○Illustrator 2020:カンバス上のオブジェクトのロック解除
○Illustrator 2020:グリフにスナップ・整列と、フォントの高さ設定
○Illustrator 2021:オブジェクトを再配色・カラーテーマピッカー
○Illustrator 2021:リピートアートワーク
○Illustrator 2021:角度ガイドにスナップの向上
○Illustrator 2021:日本語のグリフにスナップ
○Illustrator Beta版:回転ビューツール
○Illustrator 2021:書式なしでペースト
○Illustrator Beta版:3D・マテリアル
○Photoshop CC 2015:アートボード
○Photoshop CC 2015:かすみを除去する
○Photoshop CC 2015:クイック書き出し
○Photoshop CC 2015:遠近法ワープ
○Photoshop CC 2015:顔立ちを調整
○Photoshop CC 2015:切り抜きのコンテンツに応じた塗りつぶし
○Photoshop CC 2015:マッチフォント
○Photoshop CC 2017:OpentypeSVGフォント
○Photoshop CC 2018:対称ペイント
○Photoshop CC 2018:被写体を選択
○Photoshop CC 2018:球パノラマ編集
○Photoshop CC 2018:曲線ペンツール
○Photoshop CC 2018:範囲マスク
○Photoshop CC 2019:フレームレイヤー
○Photoshop 2020:オブジェクト選択ツール
○Photoshop 2020:新しくなったワープ
○Photoshop 2020:新しくなった属性パネル
○Photoshop 2020:コンテンツに応じた塗りつぶし(全レイヤー対象)
○Photoshop 2020:パノラマのエッジを塗りつぶす
○Photoshop 2020:シャドウ・ハイライト
○Photoshop 2020:コンテンツに応じた被写体を選択
○Photoshop 2020:CameraRaw12.3
○Photoshop 2020:フォントの自動アクティベーション
○Photoshop 2020:回転可能なパターンの追加
○Photoshop 2021:空を置き換え
○Photoshop 2021:ニューラルフィルター
○Photoshop 2021:コンテンツに応じたトレースツール
○Photoshop 2021:シェイプの強化されたプロパティ・三角形ツール
○Photoshop 2021:改善されたニューラルフィルター
○AfterEffects CC 2015:顔のトラッキング
○AfterEffects CC 2015:タイムチューナー
○AfterEffects CC 2015:AIデータはレイヤーに分配で取り込む
○AfterEffects CC 2015:プレビューのコントロール
○AfterEffects CC 2015:スクリプト
○AfterEffects CC 2015:新しくなったMAXON CINEMA 4D Exporter
○AfterEffects CC 2015:マスクリファレンス
○AfterEffects CC 2015:スムーザー
○AfterEffects CC 2015:立体の旗を作る・1
○AfterEffects CC 2015:立体の旗を作る・2(CINEMA 4Dレンダラー)
○AfterEffects CC 2017:強化されたライブテキストテンプレート
○AfterEffects CC 2017:日付のトークン
○AfterEffects CC 2017:マーカーデュレーション
○AfterEffects CC 2017:他のレイヤーのエフェクトをプリコンポーズ無しで参照する
○AfterEffects CC 2017:拡張された平面フォルダ
○AfterEffects CC 2017:レイヤーのあるコンポジションに変換
○AfterEffects CC 2017:現在のフレームから静止画を作る
○AfterEffects CC 2017:最後のフレームでフリーズ
○AfterEffects CC 2017:サウンドの振幅を他のレイヤーで活用する、オーディオ振幅
○AfterEffects CC 2017:カンマ区切りの文字列をランダムに表示する
○AfterEffects CC 2017:CC Light Raysとトラッカー
○AfterEffects CC 2018:パスからヌルを作成
○AfterEffects CC 2018:モーショングラフィックステンプレート
○AfterEffects CC 2018:マスタープロパティ
○AfterEffects CC 2018:プロパティリンクのピックウィップ
○AfterEffects CC 2019:レスポンシブデザインー時間
○AfterEffects CC 2019:パペットベンドピン
○AfterEffects CC 2019:Mocha AE CC プラグイン
○AfterEffects CC 2019:Animate CC FLAファイルの読み込み
○AfterEffects CC 2019:コンテンツに応じた塗りつぶし
○AfterEffects CC 2019:トレイル(オニオンスキン)
○AfterEffects CC 2019:スネークケースとキャメルケース
○AfterEffects CC 2019:エクスプレッションを使った点灯・点滅
○AfterEffects 2020:エクスプレッション・text
○AfterEffects 2020:テーパー・波
○AfterEffects 2021:モーショングラフィックステンプレート内のメディアの置き換え
○AfterEffects 2021:リアルタイム3Dドラフトプレビュー
○AfterEffects Beta版:マルチフレームレンダリング
○Premiere Pro CC 2015:Lumetri
○Premiere Pro CC 2015:デュレーションの補間方法
○Premiere Pro CC 2015:Liveテキストテンプレート
○Premiere Pro CC 2015:インジェスト設定とプロキシ
○Premiere Pro CC 2015:オープンキャプション(字幕)
○Premiere Pro CC 2017:VRワークフロー・その1
○Premiere Pro CC 2017:VRワークフロー・その2
○Premiere Pro CC 2017:グラフィッククリップとエッセンシャルグラフィックスパネル
○Premiere Pro CC 2017:キーボードショートカット
○Premiere Pro CC 2018:レスポンシブデザイン
○Premiere Pro CC 2018:複数のプロジェクトを同時に開く
○Premiere Pro CC 2018:スマホで撮ったビデオ(VFRビデオ)のサポート
○Premiere Pro CC 2018:自動ダッキング
○Premiere Pro CC 2018:比較表示と自動カラーマッチング
○Premiere Pro CC 2018:自動ラウドネス
○Premiere Pro CC 2019:ベクトルモーションコントロール
○Premiere Pro CC 2019:新しくなったアピアランス
○Premiere Pro CC 2019:ガイド
○Premiere Pro CC 2019:マスクトラッキングの高速化
○Premiere Pro CC 2019:クロマノイズ除去
○Premiere Pro CC 2019:フリーフォーム表示
○Premiere Pro 2020:オートリフレーム
○Premiere Pro 2020:20000%のタイムリマップ
○Premiere Pro 2020:プロダクション
○Premiere Pro 2020:アンカーポイント操作
○Premiere Pro 2020:シーン編集の自動検出
○Premiere Pro Beta版:読み込み・書き出しワークフロー
○Premiere Pro 2021:音声テキスト変換