イトウ先生のTips note連載

イトウ先生のTips note【AfterEffects 2021】モーショングラフィックステンプレート内のメディアの置き換え


こんにちは、イマジカデジタルスケープの伊藤和博です。
今回は、つい先日アップデートされましたAfterEffects 2021から新機能で、「モーショングラフィックステンプレート内のメディアの置き換え」をご紹介します。

そもそもモーショングラフィックステンプレートとは、AfterEffectsで作成した様々なアニメーションをテンプレートとして書き出し、Premiere Proと共用で活用する際に使用するものです。これまでのモーショングラフィックステンプレートは、テンプレート内に登録できるプロパティとして、トランスフォームの各プロパティ、またテキストレイヤーのソーステキストなど、主にキーフレームを設定できるプロパティが登録可能でしたが、2021のモーショングラフィックステンプレートでは、テンプレート内にレイヤーそのものを登録することが可能になり、AfterEffectsで作成したモーショングラフィックステンプレートに含まれるレイヤー自体を、Premiere Proで差し替えて利用することが可能になりました。

ただ、Premiere Pro側で差し替えることが可能なレイヤーにもいくつか制限があるようですので、今回はそのあたりをご紹介したいと思います。

●さっそくやってみよう!

モーショングラフィックステンプレートそのものの使い方は、イトウ先生のTips note【AfterEffects CC 2018】モーショングラフィックステンプレートを参照していただきたいのですが、まずは、ビデオ、サウンド、テキスト、イラストレーターのAI、画像(PNG)、平面、シェイプ、の各レイヤーがある、以下のようなデータがあったとします。

エッセンシャルグラフィックスパネルから、サポートするプロパティのみ、をクリックすると、エッセンシャルグラフィックスに登録可能なプロパティがタイムラインパネルで表示されるため、クリックすると以下のようになり、登録可能なプロパティが表示されるのは従来通りです。

この時、2020までは、タイムラインに表示された各プロパティのみをエッセンシャルグラフィックスにドロップして使用しますが、2021では、タイムラインに表示された各プロパティに加え、「レイヤー」そのものをエッセンシャルグラフィックスにドロップできるようになりました。

レイヤーそのものを取り込んだ状態で、モーショングラフィックステンプレートに書き出し、Premiere Pro上でテンプレートを読み込んで、PremiereProのタイムラインにドラッグした後、AfterEffectsで登録した各レイヤーは、Premiere Pro側で、テンプレートの編集やコンテンツそのものの置換が可能になる、というものです。



ただし、AfterEffectsのタイムラインパネルに取り込めるすべてのレイヤーを、エッセンシャルグラッフィックスに登録し、テンプレートとして書き出しが可能、というわけではなく、互換のないものや、一部設定を変更しないと取り込めないレイヤーがあります。そのため、2021年3月時点でのAfterEffects 2021で、登録可能なレイヤーを各レイヤー毎に以下の通り見ていこうと思います。なお、エッセンシャルグラフィックスパネルの「サポートするプロパティのみ」をクリックして表示されたプロパティに関しては、従来通り、テンプレートに書き出し、Premiere Pro上で編集可能となります。

●シェイプレイヤー・平面レイヤー・サウンドレイヤー

エッセンシャルグラフィックスパネルに取り込めないレイヤーは、互換が無い、または、連続ラスタライズのデータ、コラップスが有効になっているレイヤーのいずれか、になりますが、シェイプレイヤー、平面レイヤー、サウンドレイヤーは、登録できない理由は違えど、エッセンシャルグラフィックスパネルには登録できません。仮に登録しようとすると、以下のようなアラートを返します。

これらを取り込む場合はプリレンダリングしてビデオとして取り込むか、またはPremiere Pro上での機能で代用する場合は、シェイプはグラフィッククリップで、平面はカラーマットで、サウンドはそのままサウンドで対応する形になります。

●AIデータ

Illustratorで保存したAIデータは、コラップスを外した状態であれば、エッセンシャルグラフィックスパネルに登録し、モーショングラフィックステンプレートとして書き出すことが可能です。これは、上記のシェイプレイヤーにも関連していますが、モーショングラフィックステンプレートのメディア置き換えでは、連続ラスタライズとコラップスには対応していないため、コラップスをそもそもオフにできないシェイプレイヤーは、エッセンシャルグラフィックスパネルには登録できない、ということになります。
そのため、Illustratorのレイヤーもコラップスをオンにしておくと、そもそもエッセンシャルグラフィックスパネルに登録ができません。登録する場合は、コラップスのチェックを外した状態で、エッセンシャルグラフィックスパネルに登録し、モーショングラフィックステンプレートとして書き出します。

●c4dとswf

Cinema 4dのc4dデータは、そもそもエッセンシャルグラフィックスパネルには登録できません。また、Animate(旧FLASH)でパブリッシュしたswfは、エッセンシャルグラフィックスパネルには登録できますが、モーショングラフィックステンプレートを書き出そうとすると、以下のアラートを返し、テンプレートそのものの書き出しはできません。

c4dファイルもswfも、プロジェクトパネル内にフッテージがあるだけであれば問題ありませんが、タイムラインパネル上にc4dやswfのレイヤーがあると、モーショングラフィックステンプレートそのものが書き出せません。

●画像(静止画)とPDF

シーケンスではない通常の静止画、gif、png、jpg、psd、tifなどの形式とpdfは、エッセンシャルグラフィックスパネルに取り込み、そのままテンプレートとして書き出し可能です。

●ビデオとシーケンス

H.264のMP4コンテナなど、通常のビデオはエッセンシャルグラフィックスパネルに取り込み、そのままテンプレートとして書き出し可能です。ただし、連続ラスタライズには対応しないため、連番画像になっているシーケンス画像は、エッセンシャルグラフィックスパネル内には取り込み可能ですが、モーショングラフィックステンプレートとして書き出そうとすると、以下のアラートを返します。

シーケンスもc4dファイルやswfと同様に、プロジェクトパネル内にフッテージがあるだけであれば問題ありませんが、タイムラインパネル上にシーケンスレイヤーがあると、モーショングラフィックステンプレートそのものが書き出せません。

このテンプレートの活用ですが、そもそもAfterEffectsとPremiere Proを両方使っている、または使える方は、Adobe Dynamic Linkを使って、Prmeiere Proから直接AfterEffectsのコンポジションを読み込んだり、Prmeiere ProからAfterEffectsを起動してaepファイルそのものを修正可能、というのは従来通りですので、この場合は、シェイプ、平面、c4dなど、テンプレートには対応しないレイヤーの場合は、テンプレートにせずにaepを直接修正する、という形になるかと思います。あくまでも、「モーショングラフィックステンプレートを使って、AfterEffectsとPremiere Proとの連携をとる」という場合に今回の新機能を活用するといいかと思います。

テンプレート内のレイヤーそのものを丸ごと入れ替えられる、というのは、レイヤーは問わずにモーションやエフェクトのみの共有に特化できる、ということになりますので、バージョンアップがまだの方はぜひバージョンアップして使ってみてください。


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イトウ先生のTips noteアーカイブ【2016年~】

○Illustrator CC 2015:シェイパーツール
○Illustrator CC 2015:ダイナミックシンボル
○Illustrator CC 2015:画像に書き出し・アセットの書き出し
○Illustrator CC 2017:サンプルテキストと異体字のコンテキスト表示
○Illustrator CC 2017:画像の切り抜き
○Illustrator CC 2018:バリアブルフォント
○Illustrator CC 2018:パペットワープ
○Illustrator CC 2018:変数パネルを使用したデータ結合・1
○Illustrator CC 2018:変数パネルを使用したデータ結合・2
○Illustrator CC 2018:テキストのデザインセット
○Illustrator CC 2018:新しくなったアートボード操作
○Illustrator CC 2019:フリーグラデーション
○Illustrator CC 2019:コンテンツに応じた切り抜き
○Illustrator CC 2019:グローバル編集
○Illustrator CC 2019:トリミング表示とプレゼンテーションモード
○Illustrator 2020:自動スペルチェック
○Illustrator 2020:カスタムツールバー
○Illustrator 2020:100倍のカンバスサイズ
○Illustrator 2020:カンバス上のオブジェクトのロック解除
○Illustrator 2020:グリフにスナップ・整列と、フォントの高さ設定
○Illustrator 2021:オブジェクトを再配色・カラーテーマピッカー
○Illustrator 2021:リピートアートワーク
○Illustrator 2021:角度ガイドにスナップの向上
○Illustrator 2021:日本語のグリフにスナップ
○AfterEffects CC 2015:顔のトラッキング
○AfterEffects CC 2015:タイムチューナー
○AfterEffects CC 2015:AIデータはレイヤーに分配で取り込む
○AfterEffects CC 2015:プレビューのコントロール
○AfterEffects CC 2015:スクリプト
○AfterEffects CC 2015:新しくなったMAXON CINEMA 4D Exporter
○AfterEffects CC 2015:マスクリファレンス
○AfterEffects CC 2015:スムーザー
○AfterEffects CC 2015:立体の旗を作る・1
○AfterEffects CC 2015:立体の旗を作る・2(CINEMA 4Dレンダラー)
○AfterEffects CC 2017:強化されたライブテキストテンプレート
○AfterEffects CC 2017:日付のトークン
○AfterEffects CC 2017:マーカーデュレーション
○AfterEffects CC 2017:他のレイヤーのエフェクトをプリコンポーズ無しで参照する
○AfterEffects CC 2017:拡張された平面フォルダ
○AfterEffects CC 2017:レイヤーのあるコンポジションに変換
○AfterEffects CC 2017:現在のフレームから静止画を作る
○AfterEffects CC 2017:最後のフレームでフリーズ
○AfterEffects CC 2017:サウンドの振幅を他のレイヤーで活用する、オーディオ振幅
○AfterEffects CC 2017:カンマ区切りの文字列をランダムに表示する
○AfterEffects CC 2017:CC Light Raysとトラッカー
○AfterEffects CC 2018:パスからヌルを作成
○AfterEffects CC 2018:モーショングラフィックステンプレート
○AfterEffects CC 2018:マスタープロパティ
○AfterEffects CC 2018:プロパティリンクのピックウィップ
○AfterEffects CC 2019:レスポンシブデザインー時間
○AfterEffects CC 2019:パペットベンドピン
○AfterEffects CC 2019:Mocha AE CC プラグイン
○AfterEffects CC 2019:Animate CC FLAファイルの読み込み
○AfterEffects CC 2019:コンテンツに応じた塗りつぶし
○AfterEffects CC 2019:トレイル(オニオンスキン)
○AfterEffects CC 2019:スネークケースとキャメルケース
○AfterEffects CC 2019:エクスプレッションを使った点灯・点滅
○AfterEffects 2020:エクスプレッション・text
○AfterEffects 2020:テーパー・波
○AfterEffects 2021:モーショングラフィックステンプレート内のメディアの置き換え
○Premiere Pro CC 2015:Lumetri
○Premiere Pro CC 2015:デュレーションの補間方法
○Premiere Pro CC 2015:Liveテキストテンプレート
○Premiere Pro CC 2015:インジェスト設定とプロキシ
○Premiere Pro CC 2015:オープンキャプション(字幕)
○Premiere Pro CC 2017:VRワークフロー・その1
○Premiere Pro CC 2017:VRワークフロー・その2
○Premiere Pro CC 2017:グラフィッククリップとエッセンシャルグラフィックスパネル
○Premiere Pro CC 2017:キーボードショートカット
○Premiere Pro CC 2018:レスポンシブデザイン
○Premiere Pro CC 2018:複数のプロジェクトを同時に開く
○Premiere Pro CC 2018:スマホで撮ったビデオ(VFRビデオ)のサポート
○Premiere Pro CC 2018:自動ダッキング
○Premiere Pro CC 2018:比較表示と自動カラーマッチング
○Premiere Pro CC 2018:自動ラウドネス
○Premiere Pro CC 2019:ベクトルモーションコントロール
○Premiere Pro CC 2019:新しくなったアピアランス
○Premiere Pro CC 2019:ガイド
○Premiere Pro CC 2019:マスクトラッキングの高速化
○Premiere Pro CC 2019:クロマノイズ除去
○Premiere Pro CC 2019:フリーフォーム表示
○Premiere Pro 2020:オートリフレーム
○Premiere Pro 2020:20000%のタイムリマップ
○Premiere Pro 2020:プロダクション
○Premiere Pro 2020:アンカーポイント操作
○Premiere Pro 2020:シーン編集の自動検出