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【しくみ事典2018Web出張版】Adobe Creative Cloudの最新動向 Adobe CCその他の最新動向

※この記事は「カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2018」から一部の記事を転載しています。隔週で更新予定です。

▶Adobeのテクノロジーを飛躍的に向上させる「Adobe Sensei」
▶Adobe Stockの検索機能がより強力に
▶「文字」と「マテリアル」の機能が追加されたAdobe Capture CC
▶CCライブラリの機能向上
▶個人版Creative Cloudのストレージ容量が100GBに

Adobeの各アプリケーションは、毎年着実に進化し、より高機能になっている。アプリケーションのアップデートはもちろん嬉しいポイントだが、CCライブラリやAdobe Stock、Typekit、モバイルアプリ等、今後Creative Cloudを語るうえで、これらの各サービスが非常に重要なキーワードとなるのは間違いない。とくに注目したいのが「Adobe Sensei」と言うキーワードだろう。「Adobe Sensei」とは、2016年10月に開催されたAdobe MAXで初めて公表されたワードだが、Adobeが開発している人工知能(AI)のことだ(ちなみに、「sensei」という単語は日本語の「先生」に由来している)。2017年10月にラスベガスで開催されたAdobe MAXでも「Adobe Sensei」と言うキーワードが頻繁に語られ、今後のAdobeを語るうえで、外せないテクノロジーとなっている。
この「Adobe Sensei」の技術は、現在、さまざまなアプリケーションで利用されており、すでに我々が知らないところ(バックグラウンド)でアプリケーションの高速化や利便性に大きく寄与している。膨大なコンテンツとデータアセットが、この機械学習フレームワーク「Adobe Sensei」に関連付けられているそうで、我々が行っている時間のかかっている作業を劇的に変化させる可能性を持っている。ユーザーが次に何をしたいのかを理解し、その動きを予測してくれるのだ。なお、「Adobe Sensei」自体がクリエイティブな作業をしてくれるわけではなく、クリエイターがデザインを行ううえで、クリエイティブな作業を助けてくれる技術だと思うと理解しやすい。まさに、今後のAdobeを占ううえでも欠かせない技術、それが「Adobe Sensei」なのだ。

「Adobe Sensei」が示す未来の人工知能(AI)テクノロジー

「Adobe Sensei」とは、Adobeが開発している人工知能(AI)で、ユーザーが望む作業を予測して実行してくれるものだ。Photoshop CCの「顔認識」機能やPremiere Proの「モーフカット」、Adobe Stockの検索機能など、そのテクノロジーはすでにさまざまなアプリケーションで利用されており、今後も「Adobe Sensei」が各アプリケーションの重要な役割を担うことは間違いない。
Adobe MAXでは、「MAX Sneaks」という未来の技術を先出しで公開するイベントがあり、「Adobe Sensei」を利用した11の技術が発表された。すべての技術が今後のアプリケーション等に搭載される保証はないが、そのどれもが驚きに値するものばかり。会場でもその盛り上がりはすごく、称賛の拍手はものすごいものだった。実際にどのようなことができるかは、Adobeが公開しているAdobe MAXの動画をご覧頂いた方が分かりやすいが、こんなことが一瞬でできたら嬉しいものばかり。今後の「Adobe Sensei」にぜひ注目していただきたい。

Adobe MAXの公式サイトで動画が公開されている。まずは、初日(October 18)のKEYNOTEの「Accelerating Your Creativity -The Future」をご覧いただきたい。日本語の翻訳も用意されている。https://max.adobe.com/sessions/max-online/
こちらで、「MAX Sneaks」の動画が視聴できる。日本語訳はないが、何を行っているかは分かるはずだ。どれも驚きの機能ばかり。https://theblog.adobe.com/top-tech-sneak-peeks-max-2017-that-wowed/

検索機能が向上、目的の画像が探しやすくなったAdobe Stock

2015年6月にスタートしたAdobe Stockだが、徐々に機能やサービスを拡張しており、2017年11月現在、コンテンツ数は1億点を超え、CreativeCloudアプリケーションからも簡単にアクセス可能になっている。画像だけでなく、ビデオや3D、テンプレートをはじめ、厳選されたアーティストのプレミアム画像や報道向けのみに利用できるエディトリアルというカテゴリーも追加された。コンテンツ数増加の流れはますます加速されており、コントリビューターが自分で撮影した画像を日々アップしているとのことで、ものすごい勢いで画像数も増え続けている。
また、絞り込みの技術も拡張されており、フィルターにより目的の画像を探しやすくなっている。検索にも「Adobe Sensei」の技術が利用されており、「被写界深度」や「色の鮮やかさ」など、他のフォトサービスでは見られない検索機能により、より目的の画像を探しやすくなっている。検索ボックスに画像をドラッグすることで、似た画像を検索できるのも嬉しい機能だ。

Adobe Stockのフィルター機能。方向や被写界深度、色の鮮やかさをはじめ、人物を含むか含まないか等、詳細な絞り込みが可能
「女性 not 日本人」など、andやor、notを使用した検索も可能
「検索フィールド」に画像をドラッグすることで、似た画像を検索することもできる

フォントの認識が可能になったAdobe Capture CC

2017年10月に、Capture CCがバージョン3.0.1にアップデートされ、[文字]と[マテリアル]の機能が追加された。[文字]の機能では、キャプチャした画像に写っているテキストを分析してTypekitフォントの中から最適な候補を探し出し、CCライブラリに文字スタイルとして保存してくれる。もちろん、Adobeのデスクトップアプリで使用できる。[マテリアル]の機能では、さまざま画像からマテリアルテクスチャを生成することができる。作成したマテリアルは、CCライブラリを経由してAdobe Dimensionsで使用できる。

Capture CCの[文字]は、キャプチャした画像を基に、Typekit内の似たフォントを探し出し、CCライブラリに文字スタイルとして登録してくれる機能。いくつかの候補が表示される
文字スタイルとして保存すると、CCライブラリの文字スタイルとして保存され、そのフォントはTypekitと自動的に同期される

CCライブラリの[テキスト]機能の強化

バージョンが上がるごとに、CCライブラリの機能も向上している。CC2018からは[テキスト]の機能が強化され、CCライブラリを介して、ドキュメント内のテキストを他のAdobeアプリケーション間で共有できるようになった。テキストに適用されている段落スタイルや文字スタイル、オーバーライドもすべて含むテキストアセットとして追加されるが、使用するアプリケーションに用意されていないプロパティに関しては抜け落ちるので注意が必要。なお、shiftキーを押しながらテキストアセットをドラッグすることで、プレーンなテキストとして使用することもできる。

InDesign CC 2018の[CCライブラリ]パネルとIllustrator CC 2018の[ライブラリ]パネル。[テキスト]カテゴリーに保存されたテキストは、アプリケーションをまたいで利用できる

INFORMATION
しくみ事典2018 Web出張版は、書籍『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2018』から一部の記事を転載して掲載しています。

『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2018』
定価 4,104円(税込)
ISBN 978-4-86246-405-7
DTP&印刷スーパーしくみ事典は、DTPや印刷業務に携わるすべての人に役立つ図解事典です。 巻頭特集では「最新トピック100」と題して、「付加価値を創出する最新事例」、「Adobe CC最新動向」、「デジタル印刷最新動向」といった幅広い分野を網羅する業界最新トレンドを多数ご紹介します。