DTP&印刷スーパーしくみ事典2019 表紙の制作プロセス(デザイン~校正~印刷・加工)
リサーチとデザインプロセス
本書の2019年版の表紙デザインの検討がスタートしたのは、2018年7月26日~31日に開催された「IGAS2018」、10月2日~5日に開催された「TOKYO PACK 2018」の展示で、東洋インキのブースで「高輝度メタリックシルバーインキ」のニュースに触れたことがきっかけだった。まず、枚葉オフセット印刷機で高輝度のメタリックイメージが表現できることに驚いた。さらに多方面の方が強い関心を寄せていることにも魅せられた。是非2019年版の本書で利用したいと思い、編集部で協議し、作業がスタートした。

表紙のデザインを手がけたのはデザイナー後藤豪氏。鮮やかなシルバーとプロセス4色を組み合わせて、これまで見たことのないイメージを模索した。高輝度シルバーインキを下地に使用し、さらにプロセスカラーを掛け合わせ、虹色に変化するグラデーション、さらにシルバーの上にイエローを重ねて擬似ゴールドを表現する方法を探った。3案が試作され、一番ダイナミックな構図のイメージが選ばれた。


色校正のプロセス
色校正のプロセスの結果は下図を参照してほしい。シルバーのベタ面を広くし、全体にメタリック効果を際立たせたデザインになっているのがわかるだろう。しかし初校では、プロセス4色が全体に暗くなってしまった。擬似ゴールドは重ねたイエローが強い印象。初校の結果を踏まえて、データ調整を行い、再校正を行った(再校の結果は下記「印刷・加工のプロセス」の画像を参照)。


印刷・加工のプロセス
表紙の用紙の選択や後加工については、東洋インキよりアドバイスをいただきながら進めた。用紙は、インキが持つ光輝性を最大限に表現できるため、高光沢のキャストコート紙を採用した。今回は東洋インキで印刷適性を確認済みの、白色度の高い銘柄「ミラーコート・プラチナ」を使用した。書籍の表紙には流通時の表面保護のためにニスやPP貼りといった後加工が必要となるが、本誌ではよりシルバーの光沢を際立たせるグロスPP加工を施している。
デザイナーの後藤氏は次のように語る。「プロセス4色の表現は掛け合わせを抑えて鮮やかにするのがコツだと思います。擬似ゴールドはグラデーションにしたりテクスチャなどで工夫できるので面白いです」。最終の印刷結果は本誌の表紙を参照。 (テキスト:編集部)

環境に優しい油性枚葉インキTOYO KING®メタリックシルバー
オフセット印刷で輝きを現実に
「TOYO KING®メタリックシルバー」は、特殊アルミ顔料を活かした油性の高輝度シルバーインキ。通常、オフセット印刷では得られない「高輝度感」「高光沢感」「鏡面効果」を発現するインキだ。
高輝度メタリックシルバーは、オフセット印刷ならではの豊かなデザイン性と忠実な画像再現性を実現する。箔押し加工やコールドフォイルでは困難とされる画像やグラデーション等の連続階調、細線や小さな文字を忠実に再現することが可能だ。
一般商業印刷物、紙器パッケージ、シールラベル等、幅広い分野のアイキャッチ効果や高級感付与等、さまざまなニーズに応える新製品だ。
高輝度メタリックシルバーインキ
東洋インキ株式会社
https://www.toyoink.jp/ja/products/offset/sheet_sliver.html
●問い合わせ 印刷・情報部 TEL:03-3272-3382
この記事は、書籍『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2019』から一部の記事を転載して掲載しています。
定価 4,104円(税込)
ISBN 978-4-86246-439-2
DTP&印刷スーパーしくみ事典は、DTPや印刷業務に携わるすべての人に役立つ図解事典です。 巻頭特集では「最新トピック110」と題して、「印刷×クリエイター」、「Adobe CC最新動向」、「デジタル印刷最新動向」といった幅広い分野を網羅する業界最新トレンドを多数ご紹介します。