特集

レタリング、ゼロからの独学

レタリングのテキストが大変素晴らしかったのでご紹介したいと思います。独学でデザインを勉強されてきた方、いる方は、本書で文字の基本を見直してみてはいかがでしょうか?

ご執筆されたのは、ロゴタイプや書体デザインを手掛けてきたこの道45年の成澤正信(なるさわまさのぶ)氏。レタリング通信講座用に昨年書き下ろしされたもので、講座-1の和文、講座-2の欧文、練習帳の3部からなり、計300ページほど。明朝、ゴシック、セリフ、サンセリフのレタリングの基礎を学習できる内容になっています。

企画当初、中高生をターゲットに向けて書き進めたというだけあって、かなり説明が分かりやすい入門書です。文字を形を見るときのポイント、文字を作るときのルール、やってはいけないNG、考え方の道筋などが簡潔に整理されています。少なくともデザインに疎い編集者が読んでも理解できるくらいには、かみ砕かれて説明されています。一方で、美大のカリキュラムの数倍の練習量が課せられているだけあって、ボリュームはがっつりです。きちんと最後までやり遂げれば、間違いなく文字の基礎が身につくことでしょう。

残念ながら通信講座用のテキストなので、書店での書籍単体の販売はありません。テキストだけ欲しい方も講座に申し込む必要があります。ただ、それを踏まえてもレタリングをまったくやったことがない人には一読をおすすめしたいテキストです。文字を組むうえで必要な基礎知識はこのレタリングから学べると思います。

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見た目にそろえるためには、どのような点が大切かということが説明されている。
文字の形を創るときだけでなく、文字組みを行ううえでも必要な知識だ。

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いわゆるエレメントについての解説ページの一部。
文字の骨格を作った後で肉付けをしていくときの手順と考え方がまとまっている。
実際の書体の比較などもあり、特徴の違いが分かりやすく説明されている。

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左図は明朝、右図はゴシックの解説ページ。
基本は同じ骨格を用いて明朝とゴシックを作り分けている。
明朝とゴシックの線端の処理やバランスの取り方の違いを学んでいく。

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欧文を扱う講座-2のテキストの一部。
和文と欧文ではやはり文字の作りが根本的に違うことが分かる。

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レタリングの学習を絵心的に言うと、レタリングをやったことがない≒デッサンをやったことがない、という感じだと思います。文字の形への観察力を上げるためにはレタリングは避けて通れません。独学でデザインの道に入ってきた方でレタリングの経験がなく、デザインの基礎に不安をお持ちの方はこのテキストで学んでみてはいかがでしょうか。

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成澤正信
グラフィックデザイナー、書体デザイナー。レタリング技能検定中央試験委員。JAGDA会員。CI、ブランド、商品などのロゴタイプを数多く手掛ける。

国際文化カレッジ レタリング講座(レタリング技能検定対応)
受講料(一般):18,000円(テキスト+添削+税込み)
受講料(法人):15,000円(テキスト+添削+税込み)