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異なる特徴の大判インクジェットプリンタ3機を使い分け、地域のニーズに応える ~ラミネックスセンター(沖縄県)~

沖縄県の那覇市と沖縄市にそれぞれ店舗を構えるラミネックスセンターは、今年で41周年を迎えたプリントショップである。ラミネート加工の専門店として創業した後、白黒/カラー、図面などのコピーサービスを沖縄県内でもいち早く開始。現在ではサイン&ディスプレイ広告の作成・設置、大判印刷サービス、メモリアルグッズ制作など、さまざまな商品を取り扱っている。そのラミネックスセンターで大判印刷を行う際、主力の印刷機となっているのが日本HPの大判インクジェットプリンタである。異なる特徴を持つ3台のプリンタの使い分け方法や、地域に根付く店作りのコツなど、さまざまなお話を伺った。

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※この記事は『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2018』からの転載です。

沖縄県内でいち早く大判印刷サービスをスタート

今回お話を伺ったのは、那覇空港から車で20分ほどの場所にあるラミネックスセンター那覇店。大通りに面しており、沖縄県内の印刷・デザイン関連企業、レストランや小売店などのサービス業や中小企業、あるいは個人ユーザーも気軽に訪れることができる開放的なショップだ。1977年にラミネート加工専門業者として起業した後、図面コピーやカラーコピーなどのサービス品目を追加し、1990年代初めには溶剤系インクジェットプリンタによる大判印刷サービスも開始した。

同社の代表取締役社長・徳門聡佳氏は、「当時は白黒コピーとラミネートが主な業務でしたが、世間はどんどんデータ化、カラー化が進んで、出力業務のニーズが高まっていました。もともと図面などの大きなサイズを扱っていましたから、大判カラー印刷は自然な流れでしたね。その頃は県内の印刷会社や看板業者も、まだそこまで出力機に設備投資できていなかったので、だったらウチで看板やポスターなどを出しますよ、と受注を増やしていったのです」と語る。

左:有限会社ラミネックスセンター 代表取締役社長 徳門聡佳氏
右:有限会社ラミネックスセンター 那覇店店長 銘苅 武氏

その後、静電プロッタ、水性顔料インクジェットとさまざまな種類の大判インクジェットプリンタを使い、たどり着いたのがLatexインクだ。「溶剤系のインクジェットプリンタも画質は悪くなかったんです。でもLatexインクを搭載した日本HPの大判機を先代の社長が見たらベタ惚れしてしまった。まず、今まで溶剤系で苦手としていたグラデーションがとてもキレイだということがいちばんの理由。そして、溶剤系インクジェットプリンタでは気になっていた臭気も、Latexインクであれば心配ない。住宅地でも店内でも安心して設置できます。画質面と環境面という2つのポイントは、看板用プリンタとして入れ替えるのに十分な理由でした」(徳門氏)

この時点でラミネックスセンターが導入していた大判機は、Latexインクの「HP Latex 360」と水性顔料インクの「HP DesignJet Z6200」の2種類。屋外看板などのタフな条件で使われる場合はHP Latex 360、画質や色再現などが求められるときはHP DesignJet Z6200と使い分けていたそうだ。

色再現性の正確さや写真品質の再現性が求められる場合はHP DesignJet Z6200を使用する

気候条件に見合うプリンタを選ぶ

高温・多湿、夏から秋にかけては台風も多いという気候特性を持つ沖縄という地域で、長く美しい状態を保った掲示物を制作することは簡単なことではない。ラミネックスセンターでは、当然、こうした気候特性を踏まえた上で導入機種を選定する。

「以前、北海道の同業者と話したとき、『水性顔料インクで出したものをラミネート加工して屋外掲示した看板が3年経っても色あせなかった』と聞いたことがありました。でも沖縄の場合、同じUVラミネートを施しても3か月もちません。それぐらい紫外線の量が違うんです。ですから、導入前に印刷サンプルをもらったら店頭の外窓に貼って、どれだけの期間色がもつかを検証します。これを年単位で検証して、この土地の気候に合うかを見るわけです」(徳門氏)

せっかくサインやディスプレイを新しく作っても、掲示している間に色あせてしまったのでは、すぐに作り直しになってしまう。印刷時の品質が保たれる期間が事前に分かっていれば、受注時の打合せで伝えることもできるし、納品後にトラブルになることもない。ラミネックスセンターでは長く大判印刷を手掛ける中で、この地域特性を踏まえた大判印刷機の選び方を熟知しているというわけだ。加えて同社は、ラミネート加工も専門としているため、印刷物への加工を行い、キレイに残すという仕上げはお手の物である。

ラミネックスセンター那覇店で稼働するHP Latex 360(左)とHP DesignJet Z6200(右)

より早く、安価で小ロット印刷できる大判プリンタが必要

2016年11月、ラミネックスセンターは新たな大判機となる「HP PageWide XL 5000 MFP」を導入する。これにより、同社はより幅広い客層の支持を集めることに成功した。

「ちょうど図面用のコピー機を入れ替える時期だったこともあったのですが、これまでと同じものを入れるのではなく、新しいビジネスができるものが欲しかったんですね。一方で当時は、短期間掲示するポスターが欲しい、早く10枚くらい欲しい、といった要望があったときに、HP DesignJet Z6200ではオーバースペックで、お客様が求めるコストや納期に応えられないケースもありました。そこで、高速で安価にカラー大判印刷できるものが必要だと感じていたのです。HP PageWide XL 5000 MFPが候補に挙がり、スピードや画質を見ると、これならいけるんじゃないかと。気軽に大判印刷を利用していただけるサービスができると考えて導入を決めました。現在、HP PageWide XL 5000 MFPは図面以外の用途ではポスターにおけるエントリー機として位置づけていて、クオリティを求めるならHP DesignJet Z6200、低コスト&短納期を求めるならHP PageWide XL 5000 MFPというサービスで、お客様に提案しています」(徳門氏)

店頭受付のすぐ近くに備えられたHP PageWide XL 5000 MFP

徳門氏は「HP PageWide XL 5000 MFPは4色機なので、正直に言って導入前は色味についてどう反応されるか心配していた」と言うが、納品してみると「大判印刷ができてうれしい、十分な品質でベタもキレイ」と好評。何より大判印刷とは思えないスピードの速さが喜ばれているという。「1分間に14枚出てくるスピード感は、一般的な大判インクジェットの時間感覚とまったく違う」と話してくれた。

もちろん店頭では、HP DesignJet Z6200とHP PageWide XL 5000 MFPの違い、特徴を充分に説明し、選んでもらうようにしている。その際、ラミネックスセンター那覇店の店長・銘苅 武氏は、「HP PageWide XL 5000 MFPを提案するときは気持ちに余裕をもって提案できる」と感じるそうだ。

「これまでHP DesignJet Z6200でロットの大きなものを受注すると、混雑状況によっては印刷完了時間が読みにくく、納期もある程度余裕を持たせてお伝えしていました。でもHP PageWide XL 5000 MFPの場合はA1サイズのポスターを出す場合も数分しか掛からないので、お客様をお待たせする時間そのものが短くてすみます。これは店頭で私たちも精神的な負担が軽減されますし、急ぎのお客様に対応できるようになったことで、受注数増加にもつながっていると思います。色味に関しても、印刷する内容によってはHP DesignJet Z6200とHP PageWide XL 5000 MFPの見分けが付かないことも少なくないんです。『こんなに早いのに大丈夫?』と心配される場合は、実際に1枚試し刷りをして、品質にご納得いただいてから本刷りに入ります。加えて図面コピーをしてもスキャン速度が速く、線や文字がハッキリと印刷されているので、安心して納品できますね」(銘苅氏)

HP PageWide XL 5000 MFPとHP DesignJet
Z6200による仕上がりの違いを説明した資料。実際に印刷サンプルが貼付してあり、どんな仕上がりになるかを比べながら検討できるようになっている

これからも地域に根ざしたサービスを提供していくために

ラミネックスセンターは、複写業、出力業がB to BからB to Cへの転換を求められる以前から、店頭サービスを営業の柱のひとつとしてきた。これは、ラジオを使って毎朝同じ時間にコマーシャルを流すという宣伝活動を30年以上前も続けていることにも現れている。店頭で一緒にものづくりをすること、生の声を聞くこと、「こんなことをやってみたい」というリクエストなどから、新たな商材のアイデアが生まれることも少なくない。

一方で、現在は誰でも印刷データを作成できる時代である。大判印刷サービスを利用するユーザー層が広がると同時に極小ロットへのニーズが日に日に高まり、数枚程度の依頼も珍しくない。さらに、全国どこにいても発注できるネットプリントサービスも台頭してきたため、こうしたサービスにも対抗していかなければならない。徳門氏は、「何か印刷物を作りたいとなったときに、当社のお客様から『ラミネックス行ったら?』と紹介していただき、初来店につながるケースもあります。これは本当にありがたいですね」と語る。

個人事業主から中小企業、広告代理店など幅広い顧客を抱えるラミネックスセンターは、HP PageWide XL 5000 MFPを導入したことで、これまで大判印刷を予算や時間で諦めていたライトユーザーの潜在ニーズも掘り起こした。特徴ある3種類の大判プリンタで、これからも細かなユーザーニーズに寄り添い、新ビジネスを成功させていくことだろう。

ラミネックスセンター那覇店の店内(左)。店内装飾はすべてラミネックスセンターで制作したもの。壁紙はHP Latex 360で印刷し、施工した。長く看板を手掛けてきたことで、施工業者とも関係が深く、さまざまなリクエストにも応えられるという。「のぼり」(右)はHP PageWide XL 5000 MFPによる人気サービス。ポンジなどに印刷して組み立て、設置まで請け負う

提供:
株式会社 日本HP
http://www.hp.com/jp/