震災からの復活、そして挑戦を支える「Impremia C71」 ~城野印刷所(熊本県)~

熊本県上益城郡益城町にある城野印刷所は、創業100周年を迎えた九州でも指折りの老舗総合印刷会社である。同社では小森コーポレーション(以下、コモリ)製オフセット印刷機を6台設備し、2015年6月にはオンデマンド印刷機として「Impremia C71」、カラーマネージメントソフトウェア「K-ColorSimulator 2」、大判インクジェットプリンタ「PX-H10000」(エプソン)などの一式を導入した。この導入の理由や現在の使い方などについて、城野印刷所に伺った。

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※この記事は『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2017』からの転載です。

熊本地震からの復活

1916年創業以来、熊本県内を中心に印刷業、Web制作、広告企画業とビジネスの裾野を広げてきた城野印刷所。記念すべき2016年には100周年史に記念式典、同じ熊本県内で創業100年を越える企業をまとめた本も編纂しようとさまざまな計画を立てていた。
 
そんなときに起きた熊本地震。前震だった4月14日にはオフセット印刷機が動いてしまったものの、まだ数日で復旧できると考えていたそうだ。しかし2日後の16日、本震が発生すると印刷機を設置している社屋が8割近くダメージを受けた。耐震プレースも効かず、機械は全て浮き上がって動いてしまっていたという。積んであった用紙もすべて倒れてしまったが、なんとかサーバを起ち上げてお客様のデータを保全し、県外の協力企業に受注済みの仕事をお願いすることができた。地震があって数日、社内への立ち入りを禁止されたときは、これだけの設備を移設できる場所がどこにあるのか、再びここで仕事が再開できるのかと廃業も覚悟したことがあったという。

しかし現在、同社は社内外の協力を受け、震災前とほぼ同じ設備で、同じ場所で業務を再開している。

顧客ニーズに迅速対応するためのオンデマンド印刷

震災後、城野印刷所では少しずつ本来の業務に戻るべく営業をスタートした。2015年に導入した「Impremia C71」も、営業ツールとして大きな役割を果たしている。

「今は印刷通販もある時代だから、安いものを求めようと調べれば値段が出てくる時代でしょう。中小の我々がそこで勝負するのは難しいですよ。熊本は地方だし福岡に比べても経済規模は小さい。でもニーズはお客様の数だけあるわけだから、そこにどれだけ迅速対応できるかが問題です。そのためにもオンデマンド印刷機が必要だったのです」(城野印刷所 代表取締役・城野 斉氏)

株式会社城野印刷所
代表取締役
城野 斉氏

Impremia C71が導入される前、城野印刷所では封筒や名刺といった印刷を協力会社に依頼して外注していた。しかしこうした仕事も今では内製化できるようになり、Impremia C71が設置されている部署では折りや断裁などもひとつのフロア内で完結できるようになっているという。

「オフセット印刷ではできない冒険も、ImpremiaC71ならできる。たとえば、市場調査も兼ねて最初にImpremia C71で100~200部といった小ロット印刷を行い、売れ行き次第でオフセット印刷で大量生産する。実際にこのモデルは沖縄の菓子メーカーとの仕事で成功したモデルですが、こうした事例が今後増えていくのではないかと期待しています」(城野氏)

テスト販売向けサンプルパッケージ
沖縄県の名産「ちんすこう」のパッケージ。最初にImpremeia C71で少部数印刷し、大量生産が決まるとオフセット印刷で印刷された。城野印刷所では、市場調査も兼ねたサンプルパッケージの営業展開を始めている

プロファイル運用に欠かせないK-ColorSimulator 2

こうした小回りに効くオンデマンド印刷機を選ぶため、同社では最初から“厚紙対応、色の良いプリンタ”を探していた。当然、導入前にはいろいろなメーカーの製品も検討したが、最終的に求める条件や色合い、そして同時に提案された「K-ColorSimulator 2」の機能を見てImpremia C71に決定したという。

「実は以前もトナータイプのデジタル印刷機を入れていましたが、これはシャドウ部にトナーが乗りすぎて、トナー割れを起こすことが良くありました。当社では卒業アルバムも手掛けていましたが、写真を良くしようとコントラストを上げると髪の毛の黒い部分にトナーが乗りすぎてヤレになるケースが多かったのです。Impremia C71の画質はこうした心配がありません。極細の罫線や小サイズの文字が潰れることもないので、安心してアルバム印刷ができます」(城野氏)

そして、印刷会社ならではの視点で高く評価しているのがK-ColorSimulator 2の機能だ。まず色管理に欠かせないプロファイル作成機能を備えていること。そして、この機能を社内スタッフが使いこなせること。作成したプロファイルによって求める色が出せること。これらの機能が、城野印刷所が求める条件にピッタリだった。

K-ColorSimulator 2の運用画面
K-ColorSimulator 2操作画面。デバイスリンクプロファイルによるカラーマッチング処理が特徴で、城野印刷所では協力企業や用紙ごとに複数のプロファイルを作成し、定期的にアップデートしながら運用している

「今は大判インクジェットプリンタで色校正を行っていますが、用紙代やインク代、出力時間を考えるとImpremia C71のほうがニーズに合っていることも多い。Impremia C71であれば、用紙も選べるので、K-ColorSimulator 2でオフセット印刷機と色合わせして、文字校と色校を同時に出せるような仕組みを整えていきたいと考えています」(城野氏)

オフセット印刷(左)とオンデマンド印刷のImpremia C71(右)の出力比較
小ロット印刷からプルーファまで、小回りが効くデバイスをオールマイティに利用したい、という導入時の目的もあり、Impremia C71は、オフセット印刷のプルーファとしても活用されている。事例を積み重ねることで、クライアントからの信頼も得られている

「これから県外の仕事も受注していきたいと考えたとき、色見本を送る時間がどうしてもネックになります。事前に協力会社の色を当社でプロファイルとして作成しておけば、色見本を送り合う手間はなくせます。この立役者になっているのがK-ColorSimulator 2なのです。今までに比べて、技術が必要な物件、より利益のとれる物件が増えてきています」(城野印刷所 営業部IT推進室課長・中尾昌治氏)

株式会社城野印刷所
営業部IT推進室課長
中尾昌治氏

城野印刷所では、一度作成したプロファイルも2~3か月ごとに見直し、必要があれば再作成を行っている。これは、オフセット印刷機が環境や経時によって濃度や色に変化が出る特徴を踏まえてのことだ。今後は、こうした作業過程を蓄積し、スケジューリングしながら運用の効率化を図っていく予定とのことだ。

印刷の土台となり、顧客の信頼を得るための「色」の問題がクリアできれば、あとはどんなサービスで、印刷の仕事を受注していくかが課題となる。現在は先に挙げた名刺や封筒はもちろん、観光情報誌、ガイドブック、卒業アルバム、販促ツールなどの印刷物にフル活用。Impremia C71を導入する前にイメージしていた「小回りの効く印刷機」としてフル活用しているそうだ。

城野印刷所のワークフロー
アプリケーションからのネイティブデータやPDFファイルが入稿されたら、まずワークフローRIPで8bit TIFFファイルを生成。このRIP処理済みTIFFファイルに対して、K-ColorSimulator 2を使ってカラーマッチング処理を行い、PX-H10000ではプルーフ出力、Impremia C71ではオンデマンド印刷やプルーフ出力を行っている。印刷色は城野印刷所の基準色に合わせてあるため、プルーフでもオンデマンド印刷でも、オフセット印刷と同等の色合いで印刷可能。小ロット→大量生産でも色の整合性が取れる態勢が整えられている

下請けからビジネスパートナーへ

Impremia C71を導入する前は、オンデマンド印刷機を導入して、果たして納得できるものができるのかと不安になったこともあったという。

「POD単体で元を取ることができるのか、何かあったとき、どこに色の相談をすればいいのか、いろいろな不安がありました。今回Impremia C71にしたのは、すべての面でコモリのサポートが受けられる、色について納得いくまで相談できる、ということも大きかったです。オフセットでもオンデマンドでも、求めるところは同じなので、そこをコモリがやってくれるという安心感がありました」(中尾氏)

今後城野印刷所が考えるのは、Impremia C71を色校正機として運用できる手段を確立すること。そして、バリアブル印刷、特にイメージバリアブルに注目しているという。さらに小ロットから始まるパッケージ印刷の成功事例を受けて、型抜きや型押しといった加工設備も充実させていきたいそうだ。

「Impremia C71」
オンデマンド印刷機として導入され、今ではさまざまな用途に使われる

城野社長は、「要望のままに値段を下げ続けて受注につなげる会社ではいけない」と言う。紙に止まらずにさまざまなメディアを使ったサービスを打ち出し、お客様のビジネスパートナーとしてお互いが発展していく。それが、城野社長がイメージする将来の姿だ。Impremia C71やK-ColorSimulator 2は、こうした挑戦を土台で支える基幹になるシステムとして、同社の発展を支えていくことだろう。


提供
株式会社小森コーポレーション
http://www.komori.com/