気になるフォント連載

気になるフォント「元朝体」

◆「元朝体」

*元朝体って?
「元朝体」とは、中国「元」の時代に漢民族圧迫政策により書物の規制が厳しくなる中、福建地方の民間出版社からつくりだされた書体と言われています。
元朝体
※元代の福建刊本の文字を「げんろく志安」で写してみました(元の画像に文字を載せてみました。一部書き起こせない文字が。。不完全ですみません)
今回気になったのは、欣喜堂の元朝体『志安シリーズ』!

写研出身のデザイナー「欣喜堂」今田欣一氏の作品で、とてもキレイな書体です。
今田欣一氏は、写研時代には・秀英明朝・かな民友・ヘルベチカのリデザインなどを担当された後「欣喜堂」「ほしくずや」のブランドを立ち上げました。

今回、つい先日リリースされた新書体のうち、お薦めの3書体をピックアップしてご紹介します。

カテゴリとしては「*元朝体」として分けられるとの事で、和字書体「げんろく」、漢字書体「志安」、欧字書体「K.E.Libra」をあらかじめ組み合わせて、現代日本語の組版を可能にした日本語総合書体です。

主なラインナップは「げんろく志安・ばてれん志安・KOひさなが志安」 どれも”活字書体の源泉は書物の歴史にある”とする作者の思いが伝わる、 伝統と歴史を感じさせる美しい仕上がりのフォントです。

そもそも、漢字の歴史って。。少し整理してみましょう。

すごーく参考になったサイトがあったので、ここから抜粋してみます。
引用「漢字書体の歴史」宋朝体と明朝体のうつりかわり(欣喜堂WEBサイト)より
http://www.kinkido.net/Chinese/resume-kanji.html

【初期の漢字】

甲骨文・・・亀の甲や牛の骨に刻んだ文字(商時代)

金文・・・銅器に鋳こまれた銘文

石鼓文・・・太鼓のような形の石い刻まれた文字(唐初期)

六書・・・[象形]物の形を写して図形化、[指事]位置・数量などの抽象的な意味を直接に表す、
[会意]二つ以上の漢字を組み合わせてその意味を合成して独立した文字とする方法、
[形声]音声を表す文字と意味を表す文字を組み合わせて新しい意味を表す漢字を作る方法、
[転注]漢字を原義に類似した他の意味に転用する方法
[仮借]音はあるが当てるべき漢字のない語に対して、同音の既成の漢字を意味に関係なく転用する方法

五体の成立

【活字書体】

篆書体・・・石刻。古文(甲骨文・金石文)を基礎として篆書を制定(秦代)

隷書体・・・碑刻。篆書が衰え、実用に便利な隷書が登場(漢代)

その他・・・「銘石体」墓誌にもちいられた隷書体。現代でいうゴシック風な文字。
[魏碑体]石窟寺院を造営した際の記録用文字。
[経典体]仏教経典・儒教経典で用いられた文字。

草書体・・・書写。楷書、行書よりもはやくに、草書が広く一般化。 省略が著しいものを草書、省略が少ないものを行書としている。

行書体・・・碑刻。隷書の走り書きから興る。中国の書道家 王羲之(おうぎし)の行書筆跡から 一文字一文字集めて文を作ったと言われている

真書体・・・碑刻。高さ2mの『開成石経』石碑に刻印された文字。

宋朝体・・・中国の宋代(960―1279)の木版印刷にあらわれた書体。 長体で細いイメージが強いが、本来は彫刻風の力強い書体

*元朝体・・・楷書体系統の漢字書体は中国のそれぞれの王朝の時代をあらわす名称で呼ばれてきましたが、
このうち元朝体はわが国の活字はもちろんのこと、中国の活字にも存在していない。
書誌学などでは「趙子昂体」「松雪体」と呼ばれることが多い。

明朝体・・・中国の明代の木版印刷にあらわれた書体。

清朝体・・・中国の清代の木版印刷にあらわれる書写系書写風の印刷書体。

参考:書体の基礎知識(漢字書体編)
http://www.type-labo.jp/Shotainokiso.html#Yuan

ということで「FontGarage 」で取り扱いスタートした志安シリーズをご紹介いたします。

【欣喜堂】
・KOげんろく志安M

・KOばてれん志安M

・KOひさなが志安M

・福建元朝体 志安M Combination3(お得な3書体セット)

現代の書体である明朝やゴシックも、元はやはり中国の古い文字です。
その古い文字の中でも元朝体はかなり古い時代の書体と言えます。
古い歴史あるフォントをデザインに活かすのも面白いですよね!

みなさんも気になったらぜひチェックしてみてくださいね!