正解のない試験科目

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受験シーズン到来です。美大・芸大はそもそも数が少ないのと、学費がかなり高額(私立理系よりも高い!でも私立医学部よりは低い)ので、いろいろな意味で狭き門であることは間違いありませんが、受験できる環境にいる学生さん達には、ぜひ頑張って欲しいですね。

さて、今年の実技試験の課題は何だったのでしょうか。そのうちネットに流れると思いますが、ひとまず昨年の試験内容を見てみましょう。今は過去問や合格者の作品が、各大学のWebサイトで見られるようになっているようです。なんと便利!

2015年度入試の多摩美のグラフィックデザイン科の鉛筆デッサンの課題は「手をにぎる両手」、色彩構成の課題は「『ROBOT』とロボット」。同年度の武蔵美の視覚伝達デザイン学科の鉛筆デッサンの課題は「透明ビニールホースとポリエチレン手袋と手」、デザインの課題は「『BIRD』と鳥」

ここで両大学の課題のねらいを抜粋して紹介したいと思います。

ー多摩美の色彩構成の課題の「出題意図と評価のポイント」よりー
 「色彩構成」ではテーマの本質をどこまで的確に定着できたかを見ます。それを答えるには問題文を客観的に理解する常識と、造形を大胆に切り詰める勇気が必要となります。
 造形を切り詰めると、イメージの強度が増し、見る人の心に彩かに伝わります。また自分の考えもはっきりと自覚できます。
 レタリングを課しているのにも理由があります。文字の美しさはその国の文化のバロメーターであり、先人たちからの大切なバトンです。そのバトンを受け取るのは若い時の方がよいので、あえて入試に組み込んでいます。
 どんなアプローチでもOKなのですが、ひとつだけ気付いてほしかったことがあります。それは「人間と機械」または「人類の進化」といったロボットの客観的な本質です。これらのことは「デザイン」という概念とも共通しているところが多くあります。
多摩美術大学入試ガイド2016(2015年度入試問題および新入生入試「実技」参考作品掲載)

ー武蔵美の鉛筆デッサンの課題の「出題意図と評価のポイント」よりー
 与えられたモチーフを手で操作して、その行為から生まれた面白い現象を見つけ出して観察し、描写することを第一の目的としています。また自分が見つけた面白さを活かす構図なのかも重要です。
 問題文中に明記しているように「イメージ」に関する解釈は「携帯、整体、性質など」とかなり自由である事がわかると思います。ここではそれらを単に想像し描写するだけではなく、与えられたアルファベットに触りながらイメージを発見することを求めています。直接的な対象描画ではなく、全く異なる形(文字)から別のもの(鳥)のイメージを「見立て、表現する」というデザインの基本的な力を見る事が目的です。
武蔵野美術大学2015年度入学試験問題
 
残念ながら一般的な高等学校までの教育では「デザイン」を習う機会はほぼありませんが、この課題にはノンデザイナーであっても必要とされる学びが詰まっている気がします。

さて、キャリアを積んだクリエイターの皆さんは、今ならどんな答えを出すでしょうか。
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