takeo paper show 2018「precision」展が東京、大阪で開催。『takeo paper show 2018 precision 精度を経て立ち上がる紙』が刊行

2018年、4年ぶりに開催した竹尾ペーパーショウ。「precision / 精度」をテーマに、東京会場(6月1日〜3日、スパイラルホール)、大阪会場(10月5日〜7日、グランフロント大阪北館)の2会場で開催された。

「新しいファインペーパー」が生まれる瞬間を追体験する展示

これまでのペーパーショウでは、紙の持つ精度や美しさ、奥深さを伝え、紙の可能性を広げることが主題であったといえるでしょう。しかし、今回のペーパーショウは、9組のクリエイターが製紙メーカーや加工会社と組み、「未来のファインペーパー」の制作に挑んだ過程を克明に追うことに焦点が絞られた。

会場となるホールには長いテーブルを設置、製造のプロセスを順に追って閲覧できるようにした。閲覧者は、商品が生まれた背景を知り、資材の調達から製造・加工の工程を追体験し、最終的には新しい商品が立ち上がっていく姿を見届けることができる。会場の照明は、商品の影が落ちないように工夫を施し、暗い会場でも商品だけが鮮やかに浮き上がって見えるようにした。

展示ホールは長いテーブルを設置、9つのプロジェクトのコンセプトや原材料、加工、製造までの工程がわかるように展示された。やや暗いが、照明に工夫を施し商品に影が落ちないようにしている
撮影:山中慎太郎(Qsyum!)

展示された9つのファインペーパーには、それぞれ身近なテーマが選ばれているので、とてもわかりやすく親しみを感じる。商品ごとに目的に応じた実用性を兼ね備えており、完成したらぜひ使ってみたいと感じた人も多いだろう。

9つのプロジェクトは以下の通り。「1. 紙と布の協働、あいまいな関係 安東陽子(紙布)]」「2. 闇に溶ける紫 葛西薫(色紙)」「3. 土紙 田中義久(和紙)」「4. ハレの段ボール、その成型 DRILL DESIGN(段ボール)」「5. 情報の風合い プロトタイプ 永原康史(情報の紙)」「6. 「チョコレートの帽子-2」─穴あきの紙 原研哉(半透明の紙)」「7. 記憶の肌理 原田祐馬(厚紙)」「8. mix 藤城成貴(モールド)」「9. 動紙 三澤遥(機能紙)」。

東京会場の1Fエントランスと3Fスパイラルホールをつなぐ大階段では、竹尾の多彩なファインペーパー約300銘柄の中から、竹尾を代表する定番の紙や近年発売となった新しい紙などが紹介された。展示方法がユニークで、クラフト紙で包まれた紙の束が天井近くまで積み上げられ、まるで竹尾の倉庫に迷い込んだよう。また、サンプル用紙は自分で好きな銘柄の紙をビリビリ破って持ち帰るという趣向。破った紙を収納する透明のビニールバッグも来場者に手渡され、会場周辺はカラフルなバッグを持ち歩く人で溢れ、楽しい光景になった。

会場をつなぐ通路や階段には、竹尾の多彩なファインペーパー約300銘柄の中から、竹尾を代表する定番の紙や近年発売となった新しい紙などが紹介された
東京会場撮影:山中慎太郎(Qsyum!)
takeo paper show 2018「precision」展、東京会場のスパイラルホール正面。会場周辺は入手した紙サンプルを透明のバッグに入れて持ち歩く人が目立ち、楽しい光景になった
撮影:山中慎太郎(Qsyum!)

読み応えのある書籍『takeo paper show 2018 precision』

2018年10月22日〜11月16日、「precision」展で好評だった映像展示を再びゆっくり閲覧できる上映が、見本帖本店にて行われた。また、9組のクリエイターが挑んだ「新しいファインペーパー」の制作過程を記録した書籍『takeo paper show 2018 precision 精度を経て立ち上がる紙』が刊行された。刊行を記念し、アートディレクションを担当した田中義久氏、会場構成を担とした中山英之氏によるスペシャルトークも開催された。

出来上がった書籍は、表紙がファーストヴィンテージ ベージュ 四六判Y目 206kg、本文がアラベール ホワイト 四六判T目 90kg(別注品)という仕様。小口側にスクリーン印刷でタイトルロゴが刷られ、立体的なオブジェクトのようにも見える。本文には参加したクリエイターらのインタビューが収録され、ボリュームがあり読み応えがある。ぜひ手にとってご覧いただきたい。

書籍『takeo paper show 2018 precision 精度を経て立ち上がる紙』。発行:竹尾 発売:HeHe 監修:竹尾 企画・構成・アートディレクション:田中義久 本体価格:2800円+税

(TEXT:ファーインク 生田信一)