しくみ事典の不思議な表紙のしくみ【前編】

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カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典」は、毎年2月に発売をしているDTP・印刷に関しての情報を網羅した書籍です。これまでも目を引く表紙をデザインすべく、さまざまなチャレンジを行ってきました。

2016年版で設定した制作のコンセプトは、次の3点です。

  • Adobe Creative Cloudのサービスを活用する
  • この加工はどうやって作ったのだろう?と感じてもらうこと
  • DTP・印刷らしさを演出すること

前編では、この表紙デザインがどのように仕上がっていったのか、Adobe Creative Cloudのサービスについてレポートします。

 

Adobe Creative Cloudのサービスを活用する

最初からツールの話題となって面食らわれた方もいらっしゃるかもしれません。今回のしくみ事典では、最新のデザインツールであるAdobe Creative Cloudのソフトウェアはもちろんのこと、様々なサービスを利用してみることで、どのように制作のフローが変化するのかを検証するというチャレンジを行いました。

まず、デザインのラフを考えるに当たっては、スマートフォンやタブレットでレイアウトイメージを検討できるAdobe Compでの制作を開始しました。表紙らしく大きめの文字を配置し、説明文や画像の配置を数パターン制作し、検討を進めました。

Adobe Compで驚いたことに、「作ったラフをメールに添付して送信‥」といった作業を必要とせずに、ボタンひとつでデスクトップのIllustratorやInDesignに送り込めることがあります。同じアカウントでログインしていれば、自動的にソフトウェアが起動して、ラフレイアウトが読み込まれた状態となるのです。

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これはCompのインターフェイスのキャプチャ。送信を押すと、同じアカウントでログインしている作業中のPCでソフトウェアが立ち上がる

 

おおまかなイメージが固まったところからのブラッシュアップには、次の2サービスを利用することで、デザインを進めて行きます。

Adobe Typekitは数多くのフォントを提供しているサービス。使いたいフォントを選択し、制作環境にインストールしての利用が可能です。しくみ事典の2016年版表紙に使用した文字は、 すべてTypekit で提供されるフォントで構成を行っています。

デザイン検討の過程で特に便利だと感じたことがありました。デザイナーの制作環境と編集部の環境で、フォントの不足が起きないということです。

編集に携わるメンバーの環境はさまざまであり、Windows PC、Macの混在はもちろんのこと、フォントのインストール状況も異なります。そのため、これまでDTP作業用の共有マシンを使うことで、データの確認を行うことが発生しており、順番待ちをする場面もありました。

ところがCreative Cloudがインストールされているマシンであれば、作業環境にフォントがなかった場合、Typekitから自動的にフォントがダウンロードされ、問題なくファイルの閲覧が可能です。

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ネイティブファイルを開いた時にフォントが無いと、同期を行うか確認ダイアログが表示される。Typekitが有効になっていれば、この画面から入手を開始できる。

 

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同期が正常に終了したときのダイアログ。この時は20秒ほどで同期が完了した。

 

次に、Adobe Stockによって、表紙のメイン画像を検討していきます。4,500万点以上のストックフォトサービスで、日本語キーワードからも素材の検索が可能で、ワンクリックでプレビュー画像を得られたり、ライセンス認証が可能なインターフェイスとなっています。

デザイナーとのコミュニケーションで便利さを感じたのが、素材番号を伝えてもらえれば、検討が行えるということでした。素材の加工前の状態を確認したり、ライセンスを取得する作業を行うためのやり取りがスムーズに行えたほか、選んだ素材と似た画像も表示されるため、別の画像との比較がしやすいこともありました。

 

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選んだ画像の下に、似た画像が表示される。キーワードから素材を再検索することも簡単

 

 

初期のデザイン3パターン

ラフを元に素材の選定を進め、初期のパターンとして3案が固まりました。ラフの段階のため、素材にはAdobe Stockの透かし文字が入っています。それでもデザインの方向性を確かめられるだけの解像度はあり、プリントアウトやプロジェクターに投影しての検討に、不都合はありませんでした。

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赤をテーマに、印刷機を素材としたインパクト重視の案

© zefart/59830888/Adobe Stock

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コントラストを強めに、印刷機と特色赤でインパクトを出した案

© srki66/80989622/Adobe Stock

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昨年の黒ベースに対してカラフルで!をテーマとした案

© artant名/77524443/Adobe Stock

 

中編に続きます

この3案をベースに、デザインの検討を進め、さらに今年のコンセプトである「DTP・印刷らしさを演出すること」と表面の加工の検討を行い、デザインを仕上げて行きました。その模様は、中編でお伝えします。

中編 DTP・印刷らしさを演出すること

 

詳細なメイキング情報は、「カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典2016」に掲載されています。

 

『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2016』

2016年版では巻頭特集を大幅ボリュームアップ&厳選機種ガイドを掲載!
DTPや印刷物に携わる、すべての人に役立つ図解事典です。

カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2016

定価 4,104円(税込)
判型 A4変型/オールカラー
総ページ数 336
発売日 2016年2月23日
ISBN 978-4-86246-327-2
編集 ボーンデジタル 出版事業部

巻頭に、業界のトピック110を大特集。
Adobe Creative Cloudの最新機能から、サービスを利用した表紙制作レポート、
デジタル印刷機の動向、クリエイティブのトピックを、110の項目にまとめました。

巻末に、機材選定に役立つ「現場に向けて選んだ厳選機種ガイド64」を掲載。
枚葉インクジェット&液体トナー機、デジタル印刷機、大判インクジェットの比較検討に役立ちます。

本編となるしくみ事典は見開き2ページで構成され、ある分野・機器のしくみや特徴を、図版を用いて解説しています。 パソコンやソフトウェアなどから、デザインの手順、出力や製版などのテクノロジーまで、
DTP&印刷に関する多くの事柄を網羅しています。 活字や写植などのアナログ的な知識も掲載し、歴史的な経緯も併せて理解できます。 自分の周辺にある作業のしくみや用語を知ることで、印刷工程のイメージをつかみ、
トラブルの防止、業務の効率化のヒントとなります。

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