特集

【しくみ事典2017Web出張版】Adobe Creative Cloudの最新動向④ Adobe CCその他の最新動向

OVERVIEW
▶Adobe Stockの機能やサービスが拡張、使い勝手も大きく向上
▶Adobe Capture CCに[パターン]を作成する機能が搭載
▶Typekitのインターフェイスが変更され使い勝手が向上、「Typekit Marketplace」も公開

Adobe StockやTypekit等、Creative Cloudが提供しているサービス、およびモバイルアプリは、どんどん進化を続けている。その進化には目を見張るものがあり、ユーザーにとってますます使いやすく、メリットのあるサービスになってきている。Creative Cloudメンバーであれば、いかにこれらのサービスやツールをワークフローに取り入れて作業を効率化できるかが、ポイントとなってくるだろう。これまであまり活用してこなかった方は、ぜひ使ってみて欲しい。一度、使うと手放せなくなるはずだ。

使い勝手も大きく向上したAdobe Stock。高度な検索に対応し、テンプレートの利用も可能に

2015年6月にスタートしたAdobe Stockも、徐々に機能やサービスが拡張されてきている。ビットマップやラスター画像だけでなく、ビデオやテンプレート、3D素材の取り扱いも開始され、2016年11月現在、6,000万点以上のコンテンツが利用できる。また、ロイターとのパートナーシップ(取り扱い開始は2017年半ばを予定)も発表された。これにより、Adobe Stockのユーザーは、ロイターが所有するすべてのコレクション(1,200万枚を超える画像や100万本を超える映像アーカイブ)にアクセスできるようになる予定だ。
さらには、厳選されたアーティスト達の作品がプレミアムコレクションとして購入可能になったことに加え、コントリビューターとして登録することで、自分の作品をAdobe Stock内で販売することも可能になった。

Adobe Stockの使い勝手も常に進歩している。検索の機能が強化され、目的に応じた絞り込みが可能となった
コントリビューターとして手軽に画像を販売可能となった。なお、販売にあたってはアップロードした作品の審査があり、審査に通った作品のみが販売可能となる

使い勝手も向上しており、価格や人物、方向、カラー、セーフサーチといった指定での高度な検索にも対応し、デスクトップアプリから直接画像を検索したり、購入したりすることも可能となった。また、任意の画像をアップロードして、似た画像を検索できるのも嬉しいポイントだ。

各アプリケーションの[ライブラリ]パネルからも、Adobe Stock内の画像を検索可能となった。図はIllustratorの[ライブラリ]パネル
Adobe Stockのサイトでは、カメラのアイコンをクリックすることで画像がアップロード可能となり、似た画像の検索も可能

他にも、IllustratorやPhotoshopでは、[新規ドキュメント]ダイアログでAdobe Stockのテンプレートを使用して作業を進めることが可能となっている。ポストカードや名刺、ポスター等、たくさんのテンプレートが用意されているので活用してみるのも良いだろう。今後もAdobe Stockは進化を続け、ますます使いやすいサービスになっていくと思われる。

IllustratorやPhotoshopの[新規ドキュメント]ダイアログでは、Adobe Stockのテンプレートがダウンロード可能となっており、テンプレートを利用しての作業が可能

進化を続けるAdobe Capture CC、[パターン]を作成する機能が搭載

Adobe Capture CCは、元々、ベクターグラフィックを作成するShape CC、カラーテーマを作成するColor CC、カスタムブラシを作成するBrush CC、ビデオプロジェクトのLookを作成するHue CCが1つのモバイルアプリとして生まれ変わったものだ。Creative Cloudアプリケーションで使用できるアセットを、任意の画像から手軽に生成できるため、ぜひ活用して欲しいアプリの一つだが、2016年5月に[パターン]を作成する機能も新しく追加された。この機能を使用することで、任意の画像から万華鏡のような幾何学的なパターンを簡単に作成できる。ちなみに、パターンとして書き出せるのはPhotoshop CC用のみ。

Adobe Capture CCの[パターン]の機能により、任意の画像から手軽に幾何学的パターンを作成できる。サイズをはじめ、角度や形状も指定可能

なお、Capture CCはこれまで何度もアップデートされており、2016年10月にリリースされたバージョン2.3.1では、ベクターシェイプをPhotoshopやIllustratorに直接渡すことも可能となった。さらに、2016年12月にアップデートされたバージョン2.4では、Capture CCで作成したアセットを以下のファイル形式で書き出して、他のアプリで使用可能となった。
シェイプ:SVG、PDF、画像
パターン:プレビュー画像、パターンタイル
カラー:ASE、カラー値、画像
ブラシ:Photoshopブラシ用の画像またはABR
Look:CUBE、画像

Adobe Capture CCの[シェイプ]の機能で作成したベクターシェイプは、CCライブラリに保存するだけでなく、PhotoshopやIllustratorに直接送信して開くことも可能

操作性を向上させ、手軽に利用できるTypekit

Creative Cloudメンバーが利用なフォントサービス「Typekit」は、2016年9月にインターフェイスを大きく変更し、レスポンシブデザインに対応した。これにより、PCのみならず、タブレットやスマートフォンからも利用しやすくなっており、また「スコープバー」と呼ばれるタブとコントロールが追加されたことで、よりフォントを見つけやすく、操作性も向上した。他にも、Webフォントのみを表示させるチェックボックスが追加されたことで、デスクトップフォントが探しやすくなっていたり、サイドバーを隠して表示領域を広くできたりと、サイト上における操作性は以前よりもグッと向上している。さらには、同期のオン/オフをワンクリックで切り替えられるのも嬉しいポイントといえる。

インターフェイスが大きく変更され、操作性が向上したTypekit。レスポンシブデザインにも対応している
クリックするだけで、[同期][同期解除]を手軽に切り替えられる

また、Webサイトに適用するフォントの設定を簡単に行うことのできる[キット]の機能も追加されている。キットに名前を付け、ブログのドメインを入力すると、キット用の埋め込みコードが提供されるので、あとは<head>に、指定された2行のコードをコピーするだけと操作方法も簡単だ。

[キット]の機能を利用することで、目的に応じた埋め込みコードが提供される

さらに2016年11月には、「Typekit Marketplace」も公開された。これは、大手フォントベンダーのフォントを検索して購入できるサービスで、ライセンスも分かりやすく配慮されている。なお、執筆時点では、日本語には正式対応していないが、サイトの言語を英語等に変更することで購入は可能(日本での提供も予定されている)。

Typekitに新しく追加された「Typekit Marketplace」では、有料のフォントの購入も可能に

INFORMATION
しくみ事典2017 Web出張版は、書籍『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2017』から一部の記事を転載して掲載しています。

『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2017』
定価 4,104円(税込)
ISBN 978-4-86246-366-1
DTP&印刷スーパーしくみ事典は、DTPや印刷業務に携わるすべての人に役立つ図解事典です。 巻頭特集では「最新トピック100」と題して、「付加価値を創出する最新事例」、「Adobe CC最新動向」、「デジタル印刷最新動向」といった幅広い分野を網羅する業界最新トレンドを多数ご紹介します。